日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM15] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2023年5月24日(水) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (14) (オンラインポスター)

コンビーナ:吉村 由多加(九州大学大学院比較社会文化研究院)、臼井 洋一(金沢大学)


現地ポスター発表開催日時 (2023/5/23 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[SEM15-P11] 近似地球ダイナモ解が持つ磁場の時空間スケール

*中川 貴司1,2清水 久芳3 (1.神戸大学、2.広島大学、3.東京大学地震研究所)

キーワード:地球ダイナモ、地球磁場、永年変化

地球磁場の観測データ解析から地球中心核のダイナミクス過程の抽出を行うために、磁場生成、維持のメカニズムとして磁気流体ダイナモ過程に関する物理的な理解と観測データへの直接的なリンクの解明が必要である. Nakagawa and Davies (2022)では、近似地球ダイナモ解(外挿することによって、現実の中心核の状態を再現することができるダイナモ解)によって生成される磁場構造について、観測磁場との適合性についてダイナミクスの特徴的なスケールならびに生成エネルギーの観点から調べ、観測データと地球中心核ダイナミクスに関する直接リンクを見つけ出すことを試みた.しかし、ここで用いた近似地球ダイナモ解については、磁場変動の時間スケールとダイナミクスが持つ時間スケールについて十分な議論が行われていない.そこで、本研究では、中心核ダイナミクスと観測データについて、より定量的な理解として、磁場変動の時間スケールとして永年変化と永年加速度に着目し、観測データから得られる値と比較し、近似地球ダイナモ解の新たな制約条件として、観測データとの直接的なリンクを探ることを目的とする.

Nakagawa and Davies (2022)による近似地球ダイナモ解の一例について計算された磁場の時系列データについて1年から400年の範囲の時間窓でフィルタリングを適用したのちに、永年変化と永年加速度変化を計算すると、ガウス係数の次数にして6次程度まで、特に磁場の永年変化に対して観測データから計算される値と近い値を取ることがわかった.また、この結果は時間窓の幅に依存しないこともわかった.この結果から磁場変動の時間スケールから観測データと中心核ダイナミクスの直接的なリンクについて、近似地球ダイナモ解を用いて定量化できることが示唆される.しかし、地球中心核のダイナミクスを過不足なく再現できているかについてはさらなる検討が必要である.