[A-CG39] 沿岸海洋生態系－1．水循環と陸海相互作用

[ACG39-P01] 若狭湾沿岸部（宮津湾）における植物プランクトン群集の光合成環境の季節変化

倉賀野 真央¹、中島 壽視²、*杉本 亮¹ (1.福井県立大学海洋生物資源学部、2.東京大学大気海洋研究所)

キーワード：一次生産、栄養塩、植物プランクトン、沿岸海域

本研究では、PAM蛍光法、地下水トレーサーの測定、および従来の環境評価ツールを用いて、宮津湾内の二枚貝養殖場における植物プランクトンの一次生産性の季節変動と、それに及ぼす環境要因の影響を評価した。クロロフィルa(Chl-a)量と電子輸送速度から推定した一次生産量(PP_ETR)は，沖合水からの栄養塩供給が卓越する冬期に高かった。しかし、単位Chl-aあたりのPP_ETRおよびrETR/rETR_maxの結果は、夏期にはChl-a量とPP_ETRは減少したが、地下水からの安定した栄養塩供給と良好な光条件により、光合成活性は冬期よりも高いことを示した。また、多くの月において小型の植物プランクトン（< 20um）が大型の植物プランクトン（20-100um）よりも活発に光合成を行っており、調査サイトにおける主要な一次生産者であると示唆され、養殖貝類の初期生存率に大きく寄与しているという重要な示唆を与えた。