17:15 〜 18:45
[ACG43-P05] 福島県浜通りの河川における懸濁物質と懸濁態セシウム137の移行量と土地利用・除染の影響の関係
キーワード:懸濁物質、放射性セシウム-137、移行量、河川、福島県
2011年3月東京電力福島第一原子力発電所事故によって放出されたセシウム-137(137Cs)は約2.7×1015 Bqが陸域に蓄積し(Onda et al.,2020)、福島県の土地利用ごとの137Csの蓄積量は、森林で約67%、水田・畑・都市(PFU)で22.4%を占めていた(Kato et al.,2019)。2013年7月から2017年3月にかけて、PFUの地域を中心にリターや土壌などの除染作業が行われ、除染後に空間線量率が減少し(環境省)、河川懸濁態137Cs濃度が減少しつつある(Fan et al., 2024)。一方で、除染に伴い浮遊土砂が過剰に河川へと流入したことで、下流域での影響が大きいと推測されている(Feng et al., 2021)。下流域における河川水中浮遊土砂負荷による影響や137Csの海洋への移行量が数十年スケールでの影響が見られるかは不明であり、継続的にデータを取得する必要がある。
そこで本研究は福島県浜通り地域の9河川の下流域11地点を対象とし、約十年間懸濁物質移行量C、河川流量Xと1ヶ月あたりの懸濁態137Cs移行量Lmonthと河川流域土地利用との関係を明らかにし、除染前、除染中、除染後にCとLmonthを比較することを目的とした。
C、X、Lmonthは濁度や水位データや河川に設置した浮遊砂サンプラーを用いて採集した浮遊砂試料(懸濁態)の137Cs濃度の約10年のモニタリングデータ(2012年10月~2020年12月)を用いてそれぞれ算出した。除染データ(除染時期や除染済み面積など)は環境省除染情報サイト(http://josen.env.go.jp/)を使用し、各河川流域の土地利用情報(Taniguchi et al.,2019)を用いた。
各河川を介した海洋へのLmonthは、大部分の地点で減少傾向を示していた。新田川下流の原町地点ではLmonthは約10年間で大きな変化が見られなかった点は、除染前後における新田川の137Csフラックスの傾向(Feng et al., 2021)と一致している。一部の地点でCは増加しており、避難指示の解除に伴う人間活動の活発化に関連しているのではないかと考えられる。さらに、各地点を対象に、Xの変化に伴う河川流域面積で正規化を行った懸濁物質移行量をY = a X k で近似式を描いた結果、Kは草地・裸地や森林の被覆面積の割合が高いところで小さく(R 2=0.64)、PFU(水田・畑と都市)の被覆面積の割合が高いところで大きかった(R 2=0.65)。原町地点において、除染後(2016年から2020年)におけるCは、除染前(2012年から2016年)と比較して明らかに増加しており、Lmonthの変動が小さかったことの一因であると考えられる。
そこで本研究は福島県浜通り地域の9河川の下流域11地点を対象とし、約十年間懸濁物質移行量C、河川流量Xと1ヶ月あたりの懸濁態137Cs移行量Lmonthと河川流域土地利用との関係を明らかにし、除染前、除染中、除染後にCとLmonthを比較することを目的とした。
C、X、Lmonthは濁度や水位データや河川に設置した浮遊砂サンプラーを用いて採集した浮遊砂試料(懸濁態)の137Cs濃度の約10年のモニタリングデータ(2012年10月~2020年12月)を用いてそれぞれ算出した。除染データ(除染時期や除染済み面積など)は環境省除染情報サイト(http://josen.env.go.jp/)を使用し、各河川流域の土地利用情報(Taniguchi et al.,2019)を用いた。
各河川を介した海洋へのLmonthは、大部分の地点で減少傾向を示していた。新田川下流の原町地点ではLmonthは約10年間で大きな変化が見られなかった点は、除染前後における新田川の137Csフラックスの傾向(Feng et al., 2021)と一致している。一部の地点でCは増加しており、避難指示の解除に伴う人間活動の活発化に関連しているのではないかと考えられる。さらに、各地点を対象に、Xの変化に伴う河川流域面積で正規化を行った懸濁物質移行量をY = a X k で近似式を描いた結果、Kは草地・裸地や森林の被覆面積の割合が高いところで小さく(R 2=0.64)、PFU(水田・畑と都市)の被覆面積の割合が高いところで大きかった(R 2=0.65)。原町地点において、除染後(2016年から2020年)におけるCは、除染前(2012年から2016年)と比較して明らかに増加しており、Lmonthの変動が小さかったことの一因であると考えられる。