日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG44] 黒潮大蛇行

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:西川 はつみ(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、平田 英隆(立正大学)、碓氷 典久(気象研究所)、日下 彰(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所 )

17:15 〜 18:45

[ACG44-P04] 2023年9月に千葉県で発生した記録的な豪雨に対する日本東方海上の異常な高海面水温の影響

*平田 英隆1、川村 隆一2野中 正見3 (1.立正大学、2.九州大学大学院、3.海洋研究開発機構)

キーワード:黒潮、豪雨、台風

2023年9月8日に、千葉県において記録的な豪雨が発生し、洪水や土砂崩れが生じた。このとき、千葉県の東方海上では、黒潮続流の北偏に伴う明瞭な正の海面水温偏差が存在していた。本研究では、雲解像の領域数値実験を活用して、黒潮続流域の高海面水温偏差が2023年9月8日の千葉県における豪雨へ与える影響を調査した。コントロール実験は、9月8日に千葉県で降水が強まる様子を再現した。降水量が増加する期間に、台風Yun-yeungが千葉県の南西海上に存在しており、千葉県付近では東寄りの風が卓越していた。コントロール実験では、千葉県風下の高海面水温域において海から大気への海面熱フラックスが明瞭となった。これは、高海面水温偏差に起因する海面熱フラックスの増加が千葉における降水強化をもたらしたことを示唆する。海面水温偏差の降水強化への影響を調査するために、日本東方海上の海面水温偏差に対する感度実験を実施した。コントロール実験と比較して、この海面水温感度実験では、千葉県付近の降水が100 mm以上抑制された。さらに、日本東方海上の海面水温偏差を系統的に変えた数値実験から得られた結果は、日本東方海上の海面水温偏差と千葉県付近の降水量には、概ね正の線形関係があることを示した。これらの結果は、日本東方海上の異常な高海面水温に伴う海面熱フラックスの増加が降水強化を通じて、千葉県における豪雨の発生に関与したことを示唆する。