17:15 〜 18:45
[HQR06-P02] 部分加熱処理を導入した堆積物試料のESR総被曝線量評価
キーワード:電子スピン共鳴、石英、堆積物、ブリーチ
電子スピン共鳴(ESR)法を堆積物試料に適用する際の最大の課題は堆積時にブリーチされずに残る余剰線量の存在であるが、主要なESR信号であるAl中心には太陽光へ十分に露光させても完全にリセットされない成分があることが、この課題をより複雑にしている。妥当な総被曝線量(De)を得るには年代測定試料の見かけのDeからブリーチされないAl信号や、現生の堆積物試料の持つ余剰線量を差し引く方法が採られるが、いずれもそれぞれの線量を正しく評価する必要がある。これには長時間の露光を伴うことによる時間的な制約、Al中心とTi中心の熱安定性の違いの影響なども考慮しなければならない。我々はこれらに関連するESR信号の熱安定性について検討し、①Al中心のブリーチされない信号はブリーチされる信号よりも熱的に安定であること、②Ti中心の放射線への感度はアニール後とブリーチ後のどちらでも変わらないことなどを確認してきた。これらは総被曝線量評価の際に、ブリーチされないAl中心の信号強度は部分的な加熱処理によって再現できること、Ti中心のゼロリセットはアニールでも良いことを示唆している。
本研究ではこの性質を取り入れた測定手順でドーズリカバリーテストを行い、その有効性を確認した。部分的な加熱処理によるAl中心での再生法、アニールによるTi中心での再生法と、従来からのブリーチによる再生法、付加線量法による4つのプロトコルでの結果は、いずれも始めに与えた線量を誤差の範囲で再現することができた。これにより、数百時間に及ぶESR信号のブリーチを、1時間以内の加熱で代用できることが示された。プレヒートや加熱によって転移するESR信号の影響についても議論する。
本研究ではこの性質を取り入れた測定手順でドーズリカバリーテストを行い、その有効性を確認した。部分的な加熱処理によるAl中心での再生法、アニールによるTi中心での再生法と、従来からのブリーチによる再生法、付加線量法による4つのプロトコルでの結果は、いずれも始めに与えた線量を誤差の範囲で再現することができた。これにより、数百時間に及ぶESR信号のブリーチを、1時間以内の加熱で代用できることが示された。プレヒートや加熱によって転移するESR信号の影響についても議論する。