日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT16] 環境トレーサビリティ手法の開発と適用

2024年5月28日(火) 15:30 〜 16:45 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、SHIN Ki-Cheol(総合地球環境学研究所)、谷水 雅治(関西学院大学)、座長:谷水 雅治(関西学院大学)

16:00 〜 16:15

[HTT16-03] 気候変動による山岳地変動のモニタリングに向けた化学的アプローチ手法の検討

*川越 清樹1、佐久間 竜希2、藪崎 志穂3 (1.福島大学共生システム理工学類、2.福島大学大学院共生システム理工学研究科、3.総合地球環境学研究所)

キーワード:ICP-MS、斜面崩壊、ニホンジカ、渓流水

気候変動に伴う温暖化や降水の極端現象により自然生態系も様々な変化が生じると予測されている.特に人口集中せずに監視,管理の困難な山岳地域では,その変化をモニタリングしにくい特性を有している.今後,衛星や航空による空撮技術によりモニタリング技術は飛躍的に向上すると推測される.一方で,森林地帯を主とするため樹冠の直下の情報は判読しにくいままと推測される.そのため,空撮技術を補完できるアプローチのモニタリング技術の方法が必要である.また,気候変動による影響は進行形で発生している.近年,山地では強雨に伴う斜面崩壊現象が頻発している.また,温暖化と人口減少に伴う生態変化としてニホンジカの生息域が拡大している.これらの気候変動による影響は,複合化するものである.シカによる森林帯,林床の食害は,山地の保水機能を阻害するため,斜面崩壊現象の加速に連動する.
これらの背景をふまえて,ニホンジカの北上により,無対策の場合は生息域拡大しうる危険性をもつ福島県を対象に山岳地変動モニタリングに着手した.山岳地渓流より流出される水をベースに化学組成のデータを取得した.今後,現存する日本各地の食害地のデータと比較して,その特性を解明するとともに,モニタリングへの転用を検討する.