日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS12] 古気候・古海洋変動

2024年5月29日(水) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:山崎 敦子(名古屋大学大学院環境学研究科)、岡崎 裕典(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、長谷川 精(高知大学理工学部)、小長谷 貴志(東京大学大気海洋研究所)

17:15 〜 18:45

[MIS12-P30] 中期中新生温暖期の海水準に対するGIAとダイナミックトポグラフィーの影響

*入江 芳矢1奥野 淳一2,3,4 (1.京都大学地球熱学研究施設、2.情報・システム研究機構、3.国立極地研究所、4.総合研究大学院大学)

キーワード:氷河性地殻均衡、ダイナミックトポグラフィー、中期中新生温暖期、海水準

過去の温暖期における海水準変動の観測データから氷床量変動を推定することは、現在の地球温暖化により加速している氷床融解と海水準上昇を将来予測する上で重要な制約につながる。しかし、地形・地質学的な観測から復元される相対的海水準変動のデータには、氷床量変動の情報に加えて、glacial isostatic adjustment (GIA)に代表されるような地殻変動の成分も含まれる。さらに、100万年を超える時間スケールではマントル対流によるdynamic topography (DT)による影響も無視できず、これらの地球内部由来の変動を考慮すると、海水準変動の解釈は複雑になる。最近、Richards et al. (2023, Sci. Adv.)は、中期鮮新世温暖期(MPWP: ∼3 Ma)におけるオーストラリアの海水準データから、GIAとDTの影響を数値モデルを用いて補正することで、当時の氷床量相当海水準を∼+16.0 mと推定した。このように、GIAとDT を組み合わせた数値モデルを構築し、100万年を超える時間スケールでの海水準変動データへの適用によって、詳細な氷床量変動の推定が行われるようになってきている。そこで、我々は、中期中新生温暖期(MMCO: ∼15 Ma)における海水準変動データから氷床量変動を推定することを試みる。MMCOは北半球氷床が存在しなかった時代と考えられており、南極氷床変動メカニズムの理解に繋がる可能性がある。本公演では、MMCOにおけるGIAとDTの数値モデルを構築し、海水準変動の時空間変動を定量的に評価した結果について発表を行う。