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[MIS20-06] イベント堆積物における堆積構造の多様性とその識別手法に関する研究
キーワード：日本海、津波、珪藻
東北日本の日本海沿岸はいわゆる日本海東縁変動帯に位置し，過去300年間にM7クラスの活断層型地震が50年に1回の頻度で発生している．このうち1983年の日本海中部地震や1993年の北海道南西沖地震による津波災害は記憶に新しい．しかしながら，日本海沿岸では太平洋沿岸の津波とは異なり，季節風による砂丘の発達が著しいことから（標高20～40 m），津波は日本海に注ぐ小河川を遡上しながら不規則に堤防から氾濫するため，津波堆積物の層厚や分布（浸水範囲）が限定的であることを示した．ところで河川では豪雨によって発生した洪水の氾濫があることから，津波と洪水の識別を確実に行うことが重要となる．その識別方法について，津波堆積物は洪水堆積物に比べて，淘汰が良いこと，砕屑粒子の円磨度が高いこと，火山ガラスが含まれない等といった認定基準が適用できることを示している．一方，河川ではなく津波が外洋と接続している潟湖に侵入し，津波堆積物を形成するケースが想定されるが，この場合は河川を遡上し氾濫するケースとはとは，堆積プロセスが大きく異なると考えられる．岩木川の河口の十三湖および古象潟湖で見出された津波堆積物と，河川を遡上・氾濫して形成された津波堆積物（鰺ヶ沢町鳴沢川および遊佐町月光川周辺の沖積低地）について，ハンドコアラ―，ハンディジオスライサー，トレンチによる堆積相観察・記載，試料採取，室内試験等によってデータを収集し，これらの堆積学，岩石・鉱物学，古生物学的な特徴を取りまとめた．その結果，東北日本の日本海沿岸には，①河川遡上型津波堆積物と②ラグーン侵入型津波堆積物の2つのタイプが存在することを明らかにした．