[M-IS23] 地質学のいま

[MIS23-01] マントルのレオロジーと海洋プレートの研究

★招待講演

*道林 克禎^1,2 (1.名古屋大学 大学院環境学研究科（岩鉱）、2.海洋研究開発機構 海域地震火山部門 火山・地球内部研究センター)

キーワード：海洋プレート、マントル、レオロジー、結晶方位ファブリック

海洋プレートの海洋地殻と最上部マントルの内部構造は，地震波速度構造によって明らかにされてきた。特に地殻とマントルの境界であるモホロビチッチ不連続面直下の最上部マントルでは，地震波速度に強い異方性があり，最も速い方位はプレート運動に平行であることが知られている。しかし，これらの地震波速度構造を説明するためにはマントル物質であるカンラン岩の構造解析に基づく物質科学モデルが必要である。一般に，変形した岩石の物性（物理）情報には，組織と結晶方位ファブリックの2つがある。しかし，カンラン岩の場合，蛇紋岩化作用の影響で組織解析は困難なことが多いので，結晶方位の定向配列からレオロジーと地震波異方性を研究することがよくある。カンラン岩の分類は岩石学的にはかんらん石–直方輝石–単斜輝石の鉱物モードで分類されるが，レオロジー研究では結晶方位定向配列の6つのタイプ（結晶方位ファブリックといいます）によってカンラン岩を分類する。この分類法を基にして上部マントルの大構造が描かれているが，それを検証した例はほとんどない。本講演では，マントルのレオロジーと海洋プレートについて，最近の知見を基に研究動向を紹介する。