日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 O (パブリック) » パブリック

[O-08] 高校生ポスター発表

2024年5月26日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)、道林 克禎(名古屋大学 大学院環境学研究科 地球惑星科学系 岩石鉱物学研究室)、久利 美和(文部科学省)、紺屋 恵子(海洋研究開発機構)

13:45 〜 15:15

[O08-P21] Sky Shutter Assistant

*佐藤 優空1、*長友 陽奈1、*本多 柚結1、*松﨑 絢加1 (1.茨城県立日立第一高等学校)

キーワード:空の色、天気

1.緒言
 私達の学校が位置する茨城県日立市は、近年人口の流出が著しく、昨年茨城県が更新した報告書では茨城県内で最も人口数が減少したと記載されている。一方で、日立市は太平洋に面し、空と海の風景は、青空も夕暮れ時も、夜景もとても美しい。さらに、JR常磐線の日立駅は、その空と海の風景を観光で訪れる人たちに楽しんでもらえるように設計されている。その日立市の観光資源の一つである、「空」の風景をよりたくさんの人に楽しんでもらい、日立市の観光産業を活発にすることで日立市を盛り上げようと考えた。そこで本研究では空が綺麗に見える気象条件を探し、その情報をもとに日立市の空の情報をInstagramを通じて発信することで日立市の観光活性化を図ることを目的とする。
 ここで、日立市には「日立市天気相談所」があり、日立市を対象とする独自の天気予報を発表している。この日立市天気相談所の独自のデータ(気温・湿度・風向・風速・日射量・日射時間・降水量・気圧・天気)を用いることで、日立市内の気象条件がより詳細で、確実なものになると考え、日立市天気相談所のデータを用いることとした。本研究ではInstagramを情報発信ツールとして用いることとした。

2.研究方法
(1) 「綺麗な空」の条件設定
 SNSで投稿されている空の写真を利用して「綺麗な空」の条件を決める。
 本研究では「綺麗な空」の条件を「SNSで1000件以上の「いいね」がついた写真」と定義した。定義した写真の色情報の統計を取り「綺麗な空」の色の条件を決定した。そして、自分たちが撮影した写真と比較して、その条件に当てはまる空の写真を探した。それらを撮影した時の気象条件から日立市で綺麗な空の写真が撮れる時の気象条件を探すことにした。
【使用したSNSのアプリ】
  Instagram
【手順】
① SNSで1000件以上の「いいね」がついた空の写真を抽出する。
  今回は300枚の写真を対象にした。
② ①の写真を、青空・ブルーモーメント・夕焼けの3つに分類する。
③ ②で分類した写真のRGB・HSV値を調べる。
 (写真の中で1〜5番目に多く含まれている色を対象とした)
④ ③の値を基準として、青空・ブルーモーメント・夕焼け・マジックアワーの「綺麗な
空」の条件を決定する。
⑤ 日立市内で撮影した空の写真のRGB・HSV値を調べる。
  120枚の写真を対象にした。
 (③と同様に写真の中で1〜5番目に多く含まれている色を対象とした)
⑥ ④で決定した基準と日立市の写真を比較し、日立市で撮影できた「綺麗な空」の写真
を抽出する。
⑦ 日立市で撮影した「綺麗な空」の写真の撮影時の気象条件を調べる。

(2) Instagramを使用した「綺麗な空」を予報するアプリの作成
 気象情報の取得からInstagramへ投稿するまでの全てを自動で行うプログラムを組む。

【プログラム環境】
  実行環境:Google Colaboratory(今後Visual Studio Codeに移行予定)
  プログラミング言語:Python
【手順】
① 情報の取得
 日立市天気相談所のHPから10分ごとに更新される気象情報(気温・湿度・気圧・天気)を
スクレイピングツール(Octoparse)を用いて取得し、CSVファイル形式で保存する。
② 空の判断
 実験方法(1)で決定した「綺麗な空」の気象条件に①で取得した情報を当てはめ、空がど
のように見えるのかを判断させるプログラムを作成する。
③ Instagramへ投稿
 ①で取得した気象情報と②で出した判断結果を投稿文に載せ、1日に数回定期的に自動
で投稿する。

3.結果
【空】
 4種類の空について、RGB・HSV値を測定した結果を図1~4に示す。
 表1より、4つの空のRGB・HSV値の条件を設定できた。そして、条件が当てはまる日立市の空の写真を青空とブルーモーメントで探すことができた。
【Instagram】
 日立市天気相談所の情報抽出、Instagramの自動投稿のコーディングを行うことができた。

4.結論
 日立市で見ることができるきれいな空の気象条件を定めること、Instagramの自動投稿の一部を行うことができた。今後は日立市の写真の枚数を増やして、より正確な気象条件を定め、Instagramでの発信をすべて自動で行えるようにしたい。

参考文献
1)大谷 澪、”空の色と気象条件の関係について”令和3年度関東近県SSH指定校合同発表会、工学院大学高校生発表会資料(2024年2月)
2)画像の色解析 | カラーサイト.com、 https://www.color-site.com (2024年2月)
3)荒木 健太郎、“天気の学校” 東京:ニュートンプレス、2023、 p.176
4)日立市天気相談所、https://tenki.city.hitachi.lg.jp/ (2024年2月)