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[O08-P40] 西南日本山陽帯と山陰帯のマグマ分化末期の熱水残液循環の比較
-深成岩の角閃石から発見した波状累帯構造で推定-
キーワード:山陽帯、山陰帯、熱水残液、脱水と発泡、波状累帯構造
西南日本内帯の磁鉄鉱系列山陰帯の花崗岩類の研究によって、深成岩類の角閃石に発達している波状累帯構造は、サブソリダス過程における熱水残液の循環による再平衡によって形成されたことが明らかにされている。一方、山陰帯と対をなすチタン鉄鉱系列山陽帯の花崗岩類の角閃石からは、これまで波状累帯構造が発見されておらず、角閃石の波状累帯構造がマグマの脱水と発泡の指標として一般に使えるのかについての議論ができなかった。
今回筆者らは、山陽帯揖保川花崗閃緑岩の角閃石から、明瞭な波状累帯構造を発見し、EPMAを用いた化学分析を行い、山陰帯大東-横田石英閃緑岩の先行研究を参考にして、山陽帯と山陰帯のマグマ分化末期の環境を比較した。
揖保川花崗閃緑岩の自形~半自形角閃石の波状累帯構造は、コアからリムにわたって広い範囲に不整合的な形状で発達しており、結晶の内側から外側に向かってc軸方向に発達している。波状累帯構造は磁鉄鉱の自形結晶と共存しており、マグマ過程末期にはマグマの脱水と発泡が起こり、酸化的環境になったと考えられる。角閃石は、形成された熱水残液の循環によって広範囲に再平衡し、淡緑色リム部が結晶の外側から形成されるとともに、角閃石のコア部付近からリム部に向かって波状累帯構造を形成した。山陰帯大東-横田石英閃緑岩の角閃石の波状累帯構造は、早期にマグマの脱水と発泡が起こった後、酸化的環境で流体相の度重なる循環によって淡緑色リムが形成され、その過程で結晶外側から波状累帯構造が形成されたと考えられている。
マグマ分化当初には、山陽帯は還元的環境であり、山陰帯は酸化的環境であったと考えられているが、いずれもマグマ分化末期には酸化的環境となり、熱水残液の循環が起こったと考えられる。このように、波状累帯構造はマグマの脱水と発泡の指標となる。
今回筆者らは、山陽帯揖保川花崗閃緑岩の角閃石から、明瞭な波状累帯構造を発見し、EPMAを用いた化学分析を行い、山陰帯大東-横田石英閃緑岩の先行研究を参考にして、山陽帯と山陰帯のマグマ分化末期の環境を比較した。
揖保川花崗閃緑岩の自形~半自形角閃石の波状累帯構造は、コアからリムにわたって広い範囲に不整合的な形状で発達しており、結晶の内側から外側に向かってc軸方向に発達している。波状累帯構造は磁鉄鉱の自形結晶と共存しており、マグマ過程末期にはマグマの脱水と発泡が起こり、酸化的環境になったと考えられる。角閃石は、形成された熱水残液の循環によって広範囲に再平衡し、淡緑色リム部が結晶の外側から形成されるとともに、角閃石のコア部付近からリム部に向かって波状累帯構造を形成した。山陰帯大東-横田石英閃緑岩の角閃石の波状累帯構造は、早期にマグマの脱水と発泡が起こった後、酸化的環境で流体相の度重なる循環によって淡緑色リムが形成され、その過程で結晶外側から波状累帯構造が形成されたと考えられている。
マグマ分化当初には、山陽帯は還元的環境であり、山陰帯は酸化的環境であったと考えられているが、いずれもマグマ分化末期には酸化的環境となり、熱水残液の循環が起こったと考えられる。このように、波状累帯構造はマグマの脱水と発泡の指標となる。