17:15 〜 18:45
[PEM12-P14] スポラディックE層における電流密度の磁場データによる直接観測とモデル計算の比較

キーワード:観測ロケット、スポラディックE層、電流密度
スポラディックE層は電離圏E層に突発的かつ局所的に発生する電子密度が高い領域であり、VHF帯(30~300MHz)の電波を反射することで知られている。中性大気の水平風の方向が高度によって変わりシア構造を持つと、上下にあるイオンが地球磁場の影響を受けてその中間の高度に収束してスポラディックE層が形成される(Wind Shear理論)。スポラディックE層は高度約100kmに出現し、直接観測の手段は観測ロケットに限られる。スポラディックE層の中および周辺の電磁的な現象には未解明な部分が多く、観測ロケットによる磁場データから電流密度の高度分布を導出することは有意義である。
観測ロケットS-310-38号機は2008年2月6日、鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、高度160kmまで到達した。マグネシウムイオンイメージャ(MII)の撮像観測およびインピーダンスプローブの電子密度観測によって、スポラディックE層の出現が確認された。同ロケットにはデジタル方式フラックスゲート磁力計(DFG)が搭載され、サンプリング周波数200Hzで磁場の直交3成分(1つは機軸に沿った方向の成分、残り2つは機軸周りのスピン面内の成分)の測定を行った。測定した磁場からモデル磁場を引き変動成分を求めるためにはロケットの姿勢決定が必要である。星撮像姿勢計の観測により姿勢決定を試みたが、予想を上回る日照領域の影響を受けて、解析に使用しうるデータが得られずロケットの姿勢を決定できなかった。ロケットの歳差運動で機軸方向が真円を描くことを仮定して姿勢を決定した。
本研究では飛翔中の磁場データの変動成分の解析を行い、スポラディックE層内外を流れる電流密度を導出した。一般的なオームの法則の式に含まれるパラメータの内、電気伝導度は電子密度の観測値とモデルで与えられる。主要なイオン(NO+、O2+、O+)の組成比をIRIモデル、主要な中性粒子(N2、O2、O)の数密度をNRLMSISモデルで与えた。電場と中性風速度は直接的には観測されていないため、GAIAモデルで与えた。観測した磁場データの空間変動から求めた電流密度と、モデル値を与えて一般的なオームの法則から求めた電流密度を比較した。また、イオンや電子の運動エネルギーがジュール熱に変換されることにより、電離圏がどのような加熱を受けるのか考察した。今年7月にスポラディックE層の観測の目的に打ち上げ予定の観測ロケットS-310-46号機の展望を議論する。
観測ロケットS-310-38号機は2008年2月6日、鹿児島県内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、高度160kmまで到達した。マグネシウムイオンイメージャ(MII)の撮像観測およびインピーダンスプローブの電子密度観測によって、スポラディックE層の出現が確認された。同ロケットにはデジタル方式フラックスゲート磁力計(DFG)が搭載され、サンプリング周波数200Hzで磁場の直交3成分(1つは機軸に沿った方向の成分、残り2つは機軸周りのスピン面内の成分)の測定を行った。測定した磁場からモデル磁場を引き変動成分を求めるためにはロケットの姿勢決定が必要である。星撮像姿勢計の観測により姿勢決定を試みたが、予想を上回る日照領域の影響を受けて、解析に使用しうるデータが得られずロケットの姿勢を決定できなかった。ロケットの歳差運動で機軸方向が真円を描くことを仮定して姿勢を決定した。
本研究では飛翔中の磁場データの変動成分の解析を行い、スポラディックE層内外を流れる電流密度を導出した。一般的なオームの法則の式に含まれるパラメータの内、電気伝導度は電子密度の観測値とモデルで与えられる。主要なイオン(NO+、O2+、O+)の組成比をIRIモデル、主要な中性粒子(N2、O2、O)の数密度をNRLMSISモデルで与えた。電場と中性風速度は直接的には観測されていないため、GAIAモデルで与えた。観測した磁場データの空間変動から求めた電流密度と、モデル値を与えて一般的なオームの法則から求めた電流密度を比較した。また、イオンや電子の運動エネルギーがジュール熱に変換されることにより、電離圏がどのような加熱を受けるのか考察した。今年7月にスポラディックE層の観測の目的に打ち上げ予定の観測ロケットS-310-46号機の展望を議論する。