17:15 〜 18:45
[SCG45-P11] 加熱時間に対する堆積軟岩の物性変化

キーワード:堆積軟岩、加熱時間、圧密、引張強度、P波速度
地下深部は,地温勾配により地表よりも高温環境にある。近年,地球温暖化防止のための脱炭素が注目され地下空間利用の重要性が増す中で,岩石の物性と温度の関係に関する研究が重要となっている。花崗岩は温度上昇に伴い引張強度は低下するが,安山岩は温度上昇に伴いわずかに増加するかほとんど変化しないというように,岩石の種類によって引張強度と温度の関係は変化するということが明らかになっている。しかし,堆積軟岩を対象とした,温度と物性に関する研究は少なく,温度と物性の関係の一般的な傾向は明らかになっていない。そこで本研究では,堆積軟岩である泥質岩を対象として,加熱した岩石の物性がどのように変化するかを実験的に調べることを目的とした。加熱時間の異なる供試体について,室温条件で,圧密試験,圧裂引張試験およびP波速度測定を行い,圧密降伏応力,引張強度およびP波速度の各物性の変化について比較,検討を行った。
本研究では,千葉県房総半島東部に分布する上総層群から採取された泥質岩を実験試料とした。ブロック試料から層理面に垂直な方向にコアリングを行い,円柱状の供試体を成形した。供試体を水の入った耐熱容器に入れ,オーブン内において約90℃で加熱を行った。加熱時間は加熱なし(室温),1日加熱,1か月加熱の3種類とし,室温で圧密試験,圧裂引張試験,P波速度測定を行った。圧密試験は試験終了後,圧密曲線(e-logp)を描き,三笠法により圧縮係数と圧密降伏応力を算出した。圧裂引張試験は得られた最大荷重から引張強度を算出した。P波速度は超音波パルス法により測定し,初動の到達時間から算出した。
その結果,圧密降伏応力と引張強度は,1日加熱すると加熱前より小さくなり,1か月加熱すると加熱前に近づいた。一方,P波速度は,1日加熱すると加熱前より大きくなり,1か月加熱すると加熱前に近づく傾向がみられた。また,加熱前後の空隙率を比較すると,1日加熱した際は減少し,1か月加熱した際は増加する傾向が見られた。1日加熱した際に生じた圧密降伏応力の減少は,加熱により水に起因した微視き裂が発生したことによる弱化が原因であると考えられる。一方,1日加熱した供試体に見られたP波速度の増加と空隙率の減少は,熱膨張の影響を受けている可能性が考えられる。1か月加熱した場合には引張強度の増加がみられたが,これは加熱により粒子間の結合が強固になったことが示唆される。
本研究では,千葉県房総半島東部に分布する上総層群から採取された泥質岩を実験試料とした。ブロック試料から層理面に垂直な方向にコアリングを行い,円柱状の供試体を成形した。供試体を水の入った耐熱容器に入れ,オーブン内において約90℃で加熱を行った。加熱時間は加熱なし(室温),1日加熱,1か月加熱の3種類とし,室温で圧密試験,圧裂引張試験,P波速度測定を行った。圧密試験は試験終了後,圧密曲線(e-logp)を描き,三笠法により圧縮係数と圧密降伏応力を算出した。圧裂引張試験は得られた最大荷重から引張強度を算出した。P波速度は超音波パルス法により測定し,初動の到達時間から算出した。
その結果,圧密降伏応力と引張強度は,1日加熱すると加熱前より小さくなり,1か月加熱すると加熱前に近づいた。一方,P波速度は,1日加熱すると加熱前より大きくなり,1か月加熱すると加熱前に近づく傾向がみられた。また,加熱前後の空隙率を比較すると,1日加熱した際は減少し,1か月加熱した際は増加する傾向が見られた。1日加熱した際に生じた圧密降伏応力の減少は,加熱により水に起因した微視き裂が発生したことによる弱化が原因であると考えられる。一方,1日加熱した供試体に見られたP波速度の増加と空隙率の減少は,熱膨張の影響を受けている可能性が考えられる。1か月加熱した場合には引張強度の増加がみられたが,これは加熱により粒子間の結合が強固になったことが示唆される。