17:15 〜 18:45
[SCG48-P34] 後期完新世の東シナ海北部における堆積相分布
キーワード:東シナ海、完新世、堆積物
東シナ海はユーラシア大陸の東側に位置する縁辺海であり,北西側には陸棚が,南東側には最大水深2000mを超える沖縄トラフが広がっている.現在の東シナ海の堆積物は,複数の供給源から多様な粒子が供給されるとともに,季節によって変化する海流,潮流,水塊や気候の影響を受けることで,複雑な分布を示すことが知られている.また,最終氷期においては一部が陸化していたことから,現在の堆積環境の成り立ちを知るためには,最終氷期最盛期以降の堆積相の理解が不可欠である.
今回対象とする東シナ海北部では,済州島南方の”mud patch”や沖縄トラフ北端部の男女海盆といった一部の海域において堆積物コアを用いた研究が多くなされているものの,その中間に位置する陸棚外縁部から沖縄トラフ西側斜面にかけてのコアの研究例は少なく,年代制約が弱いものが多い.そこで本発表では,東シナ海北部の陸棚外縁部について,面的に採取されたコアを使用し,完新世後期における堆積相の空間分布を理解することを目指す.
試料は海上保安庁が東シナ海北部から採取したコアを使用し,堆積相の記載・年代測定・粒度分析などを行った.主に構成粒子の粒径と種類に基づき地点ごとに表層付近の堆積相の分類を行った結果,陸棚外縁部のコアは(1)砂質シルト,(2)細粒砂・シルト・貝片の混合,(3)淘汰の良い砂,(4)細粒~中粒砂と貝片の混合,という4つに区分された.いずれの相も明瞭な互層やラミナといった構造はほとんど存在せず,それぞれの堆積相が地理的に固まって分布している.また,有孔虫の年代測定結果は,およそ過去5-6kaの間,上下で大きく逆転することなく,最大でも10cm/ky程度の遅い速度で堆積したことを示しており,陸棚外縁部においても,海面が現在と同じ水準まで上昇した後,現在と同様の運搬・堆積過程が成立・継続してきたと考えられる.
今回対象とする東シナ海北部では,済州島南方の”mud patch”や沖縄トラフ北端部の男女海盆といった一部の海域において堆積物コアを用いた研究が多くなされているものの,その中間に位置する陸棚外縁部から沖縄トラフ西側斜面にかけてのコアの研究例は少なく,年代制約が弱いものが多い.そこで本発表では,東シナ海北部の陸棚外縁部について,面的に採取されたコアを使用し,完新世後期における堆積相の空間分布を理解することを目指す.
試料は海上保安庁が東シナ海北部から採取したコアを使用し,堆積相の記載・年代測定・粒度分析などを行った.主に構成粒子の粒径と種類に基づき地点ごとに表層付近の堆積相の分類を行った結果,陸棚外縁部のコアは(1)砂質シルト,(2)細粒砂・シルト・貝片の混合,(3)淘汰の良い砂,(4)細粒~中粒砂と貝片の混合,という4つに区分された.いずれの相も明瞭な互層やラミナといった構造はほとんど存在せず,それぞれの堆積相が地理的に固まって分布している.また,有孔虫の年代測定結果は,およそ過去5-6kaの間,上下で大きく逆転することなく,最大でも10cm/ky程度の遅い速度で堆積したことを示しており,陸棚外縁部においても,海面が現在と同じ水準まで上昇した後,現在と同様の運搬・堆積過程が成立・継続してきたと考えられる.