17:15 〜 18:45
[SGD01-P07] 地震後重力変化の時定数に関する議論とスケーリング
キーワード:地震後重力変化、粘性緩和
地震後の地殻変動や重力変化は、現在、アフタースリップとマントル物質の粘性緩和に起因すると考える説が主流である。そしてマントル物質の粘性緩和は、更に短期成分と長期成分に分けられ、単純なマクスウェルモデルでは考えられないのではないかという報告が存在する。例えば GNSS データに基づいた報告として Tobita (2016) が, GNSS と GRACE データに基づいた報告として Broerse et al. (2015) が有名である。
地震に伴う重力変化は、例えば GRACE Plotter ( https://thegraceplotter.com/ )でも簡単に確認できる。GRACE衛星の打ち上げ後に発生した三つのM9級地震である2004年スマトラ地震(Mw9.2)、2010年マウレ地震(Mw8.8)、2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)が引き起こした重力変化は、地震時の変化も、地震後の変化も明瞭に捉えられている。しかしながら、これまで粘性緩和に起因すると思われる地震後の重力変化について、Tobita (2016) や Broerse (2015) が主に GNSS データを利用して行ったような、二つの成分に分けた上での各々の時定数に関する詳しい調査は行われていない。この主要因は、これまで地震後重力変化の長期的な変化が明確に現れていた地震が2004年スマトラ地震に限られていたことであろう。
さて、本研究では2023年末までのGRACE-FO衛星のデータが公開された事を受け、東北地方を中心とした地域の重力時系列に主成分分析を適用した。その結果、2011年東北地方太平洋沖地震の地震後重力変化のシグナルが第一主成分(寄与率55.8%)として抽出され、その主成分は、2024年時点でおおよそ一次関数に近似される形に落ち着いていた(図, PC1参照)。また、特に地震後重力変化が卓越している地点(144E, 36N)の実際の時系列も、その傾向を明確に示していた(図, TVG = Time Variable Gravity 参照)。更に同様の傾向は2010年マウレ地震の地震後重力変化にも見られたため、2024年1月時点で三つのM9級地震の地震後重力変化は、粘性緩和の短期成分が支配的である時期を終え、長期成分が支配的であるフェーズに入った事が示唆される。よって、ここで粘性緩和の短期成分の時定数と、その短期成分が引き起こしている重力変化の変化量を見積もり、マグニチュードを踏まえて、それらのスケーリングを考える。
Tobita (2016): https://doi.org/10.1186/s40623-016-0422-4
Broerse et al. (2015): https://doi.org/10.1002/2015JB011951
地震に伴う重力変化は、例えば GRACE Plotter ( https://thegraceplotter.com/ )でも簡単に確認できる。GRACE衛星の打ち上げ後に発生した三つのM9級地震である2004年スマトラ地震(Mw9.2)、2010年マウレ地震(Mw8.8)、2011年東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)が引き起こした重力変化は、地震時の変化も、地震後の変化も明瞭に捉えられている。しかしながら、これまで粘性緩和に起因すると思われる地震後の重力変化について、Tobita (2016) や Broerse (2015) が主に GNSS データを利用して行ったような、二つの成分に分けた上での各々の時定数に関する詳しい調査は行われていない。この主要因は、これまで地震後重力変化の長期的な変化が明確に現れていた地震が2004年スマトラ地震に限られていたことであろう。
さて、本研究では2023年末までのGRACE-FO衛星のデータが公開された事を受け、東北地方を中心とした地域の重力時系列に主成分分析を適用した。その結果、2011年東北地方太平洋沖地震の地震後重力変化のシグナルが第一主成分(寄与率55.8%)として抽出され、その主成分は、2024年時点でおおよそ一次関数に近似される形に落ち着いていた(図, PC1参照)。また、特に地震後重力変化が卓越している地点(144E, 36N)の実際の時系列も、その傾向を明確に示していた(図, TVG = Time Variable Gravity 参照)。更に同様の傾向は2010年マウレ地震の地震後重力変化にも見られたため、2024年1月時点で三つのM9級地震の地震後重力変化は、粘性緩和の短期成分が支配的である時期を終え、長期成分が支配的であるフェーズに入った事が示唆される。よって、ここで粘性緩和の短期成分の時定数と、その短期成分が引き起こしている重力変化の変化量を見積もり、マグニチュードを踏まえて、それらのスケーリングを考える。
Tobita (2016): https://doi.org/10.1186/s40623-016-0422-4
Broerse et al. (2015): https://doi.org/10.1002/2015JB011951