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[SGD02-P13] 内陸地震の余効変動における三次元不均質の影響:2016年熊本地震の例

キーワード:地殻変動、2016年熊本地震、余効変動、粘弾性緩和
内陸地震の発生過程には未だ謎が多いが、下部地殻の不均質構造の変形により上部地殻に応力集中が発生する(飯尾, 2009)など、内陸地震と不均質構造の関連が示唆されている。とりわけ、応力・ひずみ分布の長期的な時空間発展には、粘性率の不均質構造が重要な役割を果たすと考えられる(e.g., Yamasaki and Seno, 2005)。
そこで本研究では、2016年4月16日に熊本県で発生したMj 7.3の熊本地震に着目し、先行研究(Moore et al., 2017; Pollitz et al., 2017)が地震直後のデータから示した九州地方下の粘性率を参考に、より長期間のデータを用いて三次元不均質場における粘弾性緩和のモデリングを試みた。九州地方に設置されているGEONET観測点のデータ(国土地理院F5解)から、地震前の時系列データを用いたデトレンドやコモンモード誤差の除去を行い、2023年4月16日までの粘弾性緩和の三次元変位(地震直後のデータを除く)を推定した。その上で、半解析的境界要素法(Barbot and Fialko, 2010)を用いたマクスウェル粘弾性緩和のシミュレーション結果と比較した。粘性率構造として、上部地殻・下部地殻・マントルの成層をベースとした上で、様々な三次元不均質を考慮したものを数十ケース設定した。
観測データと数値計算の残差を各ケースについて比較したところ、別府-島原地溝帯を模した大規模な低粘性領域を考慮することで、特に九州地方北西域の変位が成層構造の場合よりも改善されることがわかった。しかし、別府-島原地溝帯内の九州地方中央域では、特に水平成分においてデータと数値計算の間の乖離が解消できなかった。この乖離を説明するための1つのモデルとして、熊本地震後に九州地方中央域の一部で別府-島原地溝帯の発散が居所的に活発化している可能性を検討した。
そこで本研究では、2016年4月16日に熊本県で発生したMj 7.3の熊本地震に着目し、先行研究(Moore et al., 2017; Pollitz et al., 2017)が地震直後のデータから示した九州地方下の粘性率を参考に、より長期間のデータを用いて三次元不均質場における粘弾性緩和のモデリングを試みた。九州地方に設置されているGEONET観測点のデータ(国土地理院F5解)から、地震前の時系列データを用いたデトレンドやコモンモード誤差の除去を行い、2023年4月16日までの粘弾性緩和の三次元変位(地震直後のデータを除く)を推定した。その上で、半解析的境界要素法(Barbot and Fialko, 2010)を用いたマクスウェル粘弾性緩和のシミュレーション結果と比較した。粘性率構造として、上部地殻・下部地殻・マントルの成層をベースとした上で、様々な三次元不均質を考慮したものを数十ケース設定した。
観測データと数値計算の残差を各ケースについて比較したところ、別府-島原地溝帯を模した大規模な低粘性領域を考慮することで、特に九州地方北西域の変位が成層構造の場合よりも改善されることがわかった。しかし、別府-島原地溝帯内の九州地方中央域では、特に水平成分においてデータと数値計算の間の乖離が解消できなかった。この乖離を説明するための1つのモデルとして、熊本地震後に九州地方中央域の一部で別府-島原地溝帯の発散が居所的に活発化している可能性を検討した。