[S-IT14] 地球深部科学

[SIT14-P16] 高温高圧下におけるCaMgSi₂O₆立方晶ペロブスカイトの安定性

*中村 虎太郎¹、西 真之¹、柿澤 翔²、グレオ スティーブ³、辻野 典秀²、近藤 忠¹ (1.国立大学法人大阪大学、2.高輝度光科学研究センター、3.愛媛大学GRC)

キーワード：CMペロブスカイト、その場X線回折実験、マルチアンビル装置

地球の下部マントルには、bridgmanite (MgSiO₃)、periclase (MgO)、davemaoite (CaSiO₃)の3種類の鉱物が主に存在していると考えられている。しかし、近年のダイヤモンドアンビルセルを用いた実験において多量のCa成分がbridgmaniteへ含まれうることが報告されており、約1200kmの深さに相当する40GPa, 2300 Kを超える高温高圧環境ではdavemaoiteが消失することが示唆された。(Ko et al. 2022 Nature)。一方で、diopsideが下部マントル条件下で高圧相転移する際にも、bridgmaniteとdavemaoiteの中間的組成(CaMgSi₂O₆)をもつCM-perovskiteが非平衡相として一時的に出現することが報告されている。そこで我々は、非平衡性を考慮に入れつつCM-perovskiteの生成条件(温度、圧力、組成)を解明することを目的とし、SPring-8のBL04B1にて放射光Ｘ線およびマルチアンビル装置を用いた高温高圧その場観察法による実験を実施した。下部マントルの高温高圧条件を実現するために焼結ダイヤモンド製アンビルを使用した。最高圧力は 42GPa、最高温度は 2100 Kとした。CaMgSi₂O₆ガラス、Ca_0.95Mg_0.95Al_0.2Si_1.9O₆ガラス、天然ダイオプサイドを出発試料とし、高温高圧下においてCM-perovskiteと思われるXRDパターンを取得した。今回の発表では、得られた結果からこの相の化学組成および出現する温度圧力条件を議論する。