17:15 〜 18:45
[SSS05-P22] Coriolis力は発震機構解の歪軸方位に影響を与えるか?
キーワード:Coriolis 力、発震機構、千島海溝、沖縄海盆、CMT解
Coriolis力は,物体が運動する進行方向に対して北半球では直角右向きに働き,運動速度と緯度の増加に伴い増大し,摩擦抵抗とともに減少する.
気象庁のCMT解は,亀裂発生位置を初動震源,本破壊位置をCMT震源としてその時刻・規模とともに公表している.両震源間の距離と時刻差から破壊進展速度を算出できる.破壊進展速度は,秒速㎞程度と高速なのでCoriolis力が働くことが期待される.
CMT主歪軸方位から主破壊における発震機構を知ることができる.千島海溝域のCMT解の主歪軸方位は,北米Plateに対する太平洋PlateのEuler緯線にほぼ揃っている.特に逆断層型の主圧縮P歪軸方位はPlate運動方位に良く揃っている(Fig. 1左図).
弧状に屈曲する海溝軸に沿う海溝傾斜方位は変化するが,Plate運動方位はほぼ一定なので歪軸方位とPlate運動方位との定量的比較に使用できる.海溝傾斜方位を中央基準線にすると,Plate運動方位は中央基準線付近を上下する折線として表される.この折線に沿って主歪軸方位が分布すれば.Plate運動方位に揃っていると判定できる(Fig.1・2左下図・Fig3・4右下図).
千島海溝域の主歪軸傾斜方位図中央付近のPlate方位折線とその180°異なる逆方位の上下縁に沿って分布する逆断層型の主圧縮P歪軸傾斜方位はPlate方位線に沿っている(Fig. 1).Plate運動方位と逆方位の歪軸傾斜方位の共存は,傾斜にばらつきのある水平に近い歪軸によるものも在るが,中央付近に揃うP軸方位は,Slab沈込による屈曲と平面化に伴う圧縮による座屈に対応し,逆方位は摩擦のあるPlate境界面に沿う剪断歪である.
逆断層型の震源で圧縮歪が蓄積するには,両側から地下岩石を抑え込む必要がある.押え込む両側が次第に近付き歪を蓄積し,破壊限界に達して地震が発生するため,Coriolis力の関与は期待できない.正断層型の場合には,両側から破壊限界まで引張るが,破壊とともに両側の関係が途切れるため,Coriolis力の関与が期待できる.
正断層型の主引張T歪軸傾斜方位は主歪軸傾斜方位図で明瞭にPlate運動方位折線の下側及びその逆方位に沿っている(Fig. 2左下図,Fig. 4右下図).歪軸傾斜方位図では下方が時計回りなので,Plate運動方位から時計回りに回転していることが分かる.
千島海溝域(緯度50.3N±1.6°)の正断層型CMT震源118個の主引張T歪軸傾斜方位はPlate運動方位に対して+54±35°と時計回りに有意に回転しているが(Fig. 2),逆断層型CMT震源391個の主圧縮P歪軸傾斜方位は+12±31°と回転していない(Fig. 1).
琉球海溝域の沖縄Trough(緯度27.3N±2.0°)の正断層型CMT震源68個の主引張T歪軸傾斜方位はPlate運動方位から+32±21°と時計回りに有意に回転している(Fig. 4).
回転が時計回りで,回転角が緯度程度であることは,この回転がCoriiols力によることを示している.Coliolis力を妨げる摩擦の大きな剪断歪や座屈歪による逆断層型の主圧縮P歪軸傾斜方位にはCoriolis力の効果が認められず,Plate運動方位に一致することも,Coriols力の存在を支持する.
気象庁のCMT解は,亀裂発生位置を初動震源,本破壊位置をCMT震源としてその時刻・規模とともに公表している.両震源間の距離と時刻差から破壊進展速度を算出できる.破壊進展速度は,秒速㎞程度と高速なのでCoriolis力が働くことが期待される.
CMT主歪軸方位から主破壊における発震機構を知ることができる.千島海溝域のCMT解の主歪軸方位は,北米Plateに対する太平洋PlateのEuler緯線にほぼ揃っている.特に逆断層型の主圧縮P歪軸方位はPlate運動方位に良く揃っている(Fig. 1左図).
弧状に屈曲する海溝軸に沿う海溝傾斜方位は変化するが,Plate運動方位はほぼ一定なので歪軸方位とPlate運動方位との定量的比較に使用できる.海溝傾斜方位を中央基準線にすると,Plate運動方位は中央基準線付近を上下する折線として表される.この折線に沿って主歪軸方位が分布すれば.Plate運動方位に揃っていると判定できる(Fig.1・2左下図・Fig3・4右下図).
千島海溝域の主歪軸傾斜方位図中央付近のPlate方位折線とその180°異なる逆方位の上下縁に沿って分布する逆断層型の主圧縮P歪軸傾斜方位はPlate方位線に沿っている(Fig. 1).Plate運動方位と逆方位の歪軸傾斜方位の共存は,傾斜にばらつきのある水平に近い歪軸によるものも在るが,中央付近に揃うP軸方位は,Slab沈込による屈曲と平面化に伴う圧縮による座屈に対応し,逆方位は摩擦のあるPlate境界面に沿う剪断歪である.
逆断層型の震源で圧縮歪が蓄積するには,両側から地下岩石を抑え込む必要がある.押え込む両側が次第に近付き歪を蓄積し,破壊限界に達して地震が発生するため,Coriolis力の関与は期待できない.正断層型の場合には,両側から破壊限界まで引張るが,破壊とともに両側の関係が途切れるため,Coriolis力の関与が期待できる.
正断層型の主引張T歪軸傾斜方位は主歪軸傾斜方位図で明瞭にPlate運動方位折線の下側及びその逆方位に沿っている(Fig. 2左下図,Fig. 4右下図).歪軸傾斜方位図では下方が時計回りなので,Plate運動方位から時計回りに回転していることが分かる.
千島海溝域(緯度50.3N±1.6°)の正断層型CMT震源118個の主引張T歪軸傾斜方位はPlate運動方位に対して+54±35°と時計回りに有意に回転しているが(Fig. 2),逆断層型CMT震源391個の主圧縮P歪軸傾斜方位は+12±31°と回転していない(Fig. 1).
琉球海溝域の沖縄Trough(緯度27.3N±2.0°)の正断層型CMT震源68個の主引張T歪軸傾斜方位はPlate運動方位から+32±21°と時計回りに有意に回転している(Fig. 4).
回転が時計回りで,回転角が緯度程度であることは,この回転がCoriiols力によることを示している.Coliolis力を妨げる摩擦の大きな剪断歪や座屈歪による逆断層型の主圧縮P歪軸傾斜方位にはCoriolis力の効果が認められず,Plate運動方位に一致することも,Coriols力の存在を支持する.
