09:00 〜 09:15
[STT36-01] DAS観測で捉えた鳥島近海で発生した高周波津波
★招待講演
キーワード:分散型音響センシング技術、津波、鳥島
分散型音響センシング(DAS)技術を用いて、海底ケーブルによって様々な波動場が観測されるようになった。しかし、津波の観測は、発生頻度が少なくDAS観測の期間や場所にもよるため、これまでほとんど例が見られない。2023年10月9日(JST)に日本の南岸に設置された潮位計で海面変動が観測されたが、それは鳥島近海の海底火山起源の津波によるものと考えられている。JAMSTECでは室戸沖でDASの連続観測を実施しており、その津波の信号を観測できた可能性がある。本研究では、もしそのような信号が確認できれば、位相速度の周波数依存性を計算することで津波かどうかを検証し、さらに南海トラフ域に設置された水圧計の記録と比較する。
DAS記録では、海底ケーブルの北半分ほどのチャネルで陸方向に伝播するコヒーレントな信号を確認できた。卓越周波数は6-30 mHz程度である。それらの到達時刻は水圧計のものとほぼ一致する。計算した伝播速度の周波数依存性は、infragravity wave(深水波、海洋表面波)のものと良く一致しており、infragravity waveは津波の高周波成分に分類される。このイベントでは3 mHz以下の信号は弱く、沈み込み帯のプレート境界地震によって発生したような津波とは異なった特徴を持っている。
さらにDAS記録を用いて、震源で津波が時間的にどのように発生したのかを推定した。その結果、初期のステージ(5:00 JST)では相対的に短周期成分の津波が発生し、後半のステージ(6:00–6:30)では長周期の津波が発生した。これは活動が後半ほど大きくなることを示唆している。水圧計の記録も使って推定したが、同様の結果が得られた。本研究は、DAS技術で津波伝播を観測できることに加え、津波の発生メカニズムの解明にも貢献できることを示唆している。
Data citation
DONET: doi:10.17598/NIED.0008
Acknowledgement
本研究はJSPS科研費「Slow to Fast地震学」(Grant No. JP21H05202, JP21H05204)の助成を受けています。また、防災科学技術研究所より提供されているDONET記録を使用しました。記して感謝申し上げます。
DAS記録では、海底ケーブルの北半分ほどのチャネルで陸方向に伝播するコヒーレントな信号を確認できた。卓越周波数は6-30 mHz程度である。それらの到達時刻は水圧計のものとほぼ一致する。計算した伝播速度の周波数依存性は、infragravity wave(深水波、海洋表面波)のものと良く一致しており、infragravity waveは津波の高周波成分に分類される。このイベントでは3 mHz以下の信号は弱く、沈み込み帯のプレート境界地震によって発生したような津波とは異なった特徴を持っている。
さらにDAS記録を用いて、震源で津波が時間的にどのように発生したのかを推定した。その結果、初期のステージ(5:00 JST)では相対的に短周期成分の津波が発生し、後半のステージ(6:00–6:30)では長周期の津波が発生した。これは活動が後半ほど大きくなることを示唆している。水圧計の記録も使って推定したが、同様の結果が得られた。本研究は、DAS技術で津波伝播を観測できることに加え、津波の発生メカニズムの解明にも貢献できることを示唆している。
Data citation
DONET: doi:10.17598/NIED.0008
Acknowledgement
本研究はJSPS科研費「Slow to Fast地震学」(Grant No. JP21H05202, JP21H05204)の助成を受けています。また、防災科学技術研究所より提供されているDONET記録を使用しました。記して感謝申し上げます。