09:30 〜 09:45
[STT36-03] 日本海における分散型音響センシングを用いた海底地震観測
キーワード:分散型音響センシング、海底ケーブル、日本海、余震観測
海底ケーブル観測システムが、2010年に日本海で最初に新潟県粟島近海へ設置された。システムはケーブル全長25kmで4つの観測点が5 km間隔で接続されており、情報通信技術をデータ伝送とシステム制御に初めて使用した。一重外装光ファイバ海底ケーブルは漁業活動の影響を避けるために全体が海底下1mに埋設されている。設置後データは連続的に収集された。海底ケーブルは8本のファイバが内含されており、3組の光ファイバがデータ伝送に1組のファイバが時刻情報の伝送に用いられている。データ伝送路は二重化されており、そのうち1組が陸上局から最も遠い観測点の耐圧容器中で折り返され、ループ形状となっている。すなわち、2本のファイバが最遠の観測点まで無中継で伸びている。
近年、分散型音響センシング(DAS)に代表される光ファイバセンシング技術が発展し、地震地殻変動観測に利用できるようになってきた。特にDAS計測は空間的に高密度なデータを長距離にわたって取得できることから地震観測に有用である。そのため、DAS計測は日本においても既設海底ケーブルに適用されモニタリング観測に有用であることが示されつつある。DAS計測は光ファイバ計測技術の一つであり、位相の揃ったレーザー光の短いパルスを連続的にシングルモードファイバに送信し後方散乱光を観測する。振動によりファイバが微小変形を起こすことにより散乱光の変化が観測される。光の往復時間とゲージ長が観測点までの距離と空間解像度にそれぞれ対応する。空間的な観測点間隔は最も短い場合で数mである。これらの特徴からDAS観測は高密度な直線アレイ観測と同等であり、アレイ長が敷設されたファイバの長さに対応する。現在の技術では、最も長い観測長は100km以上に達している。このような背景から現在海底におけるDAS技術による地震観測が多く行われようになってきた。
日本海の海底ケーブル観測システムのファイバを用いた初めてのDAS観測を2023年4月に行った。DAS計測を開始する前に、光パルス試験器(OTDR)を用いて、ファイバの健全性を評価した。DAS計測器を陸上局舎内に一時設置して、1m間隔、総長22kmで、サンプリング周波数200 Hzの観測を行った。空間分解能を示すゲージ長は16mとし、約4日間の連続データを収録した。その結果、ケーブルシステム近傍で発生した微小地震を記録することができた。この記録から、日本海海底ケーブルシステムによるDAS計測は品質のよい観測ができることが推定される。2023年9月には、陸上局社内の光コネクタの交換に伴い、約1日間の短い観測を行った。空間的観測間隔、ゲージ長、観測全長およびサンプリング周波数は4月の観測と同じである。2024年1月1日に令和6年能登半島地震が発生し、多くの余震が発生した。2月上旬より、日本海海底ケーブル観測システムを用いたDAS観測を開始した。観測環境を反映して、多くの余震が観測されている。
近年、分散型音響センシング(DAS)に代表される光ファイバセンシング技術が発展し、地震地殻変動観測に利用できるようになってきた。特にDAS計測は空間的に高密度なデータを長距離にわたって取得できることから地震観測に有用である。そのため、DAS計測は日本においても既設海底ケーブルに適用されモニタリング観測に有用であることが示されつつある。DAS計測は光ファイバ計測技術の一つであり、位相の揃ったレーザー光の短いパルスを連続的にシングルモードファイバに送信し後方散乱光を観測する。振動によりファイバが微小変形を起こすことにより散乱光の変化が観測される。光の往復時間とゲージ長が観測点までの距離と空間解像度にそれぞれ対応する。空間的な観測点間隔は最も短い場合で数mである。これらの特徴からDAS観測は高密度な直線アレイ観測と同等であり、アレイ長が敷設されたファイバの長さに対応する。現在の技術では、最も長い観測長は100km以上に達している。このような背景から現在海底におけるDAS技術による地震観測が多く行われようになってきた。
日本海の海底ケーブル観測システムのファイバを用いた初めてのDAS観測を2023年4月に行った。DAS計測を開始する前に、光パルス試験器(OTDR)を用いて、ファイバの健全性を評価した。DAS計測器を陸上局舎内に一時設置して、1m間隔、総長22kmで、サンプリング周波数200 Hzの観測を行った。空間分解能を示すゲージ長は16mとし、約4日間の連続データを収録した。その結果、ケーブルシステム近傍で発生した微小地震を記録することができた。この記録から、日本海海底ケーブルシステムによるDAS計測は品質のよい観測ができることが推定される。2023年9月には、陸上局社内の光コネクタの交換に伴い、約1日間の短い観測を行った。空間的観測間隔、ゲージ長、観測全長およびサンプリング周波数は4月の観測と同じである。2024年1月1日に令和6年能登半島地震が発生し、多くの余震が発生した。2月上旬より、日本海海底ケーブル観測システムを用いたDAS観測を開始した。観測環境を反映して、多くの余震が観測されている。