日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC29] 火山の監視と活動評価

2024年5月31日(金) 10:45 〜 12:00 コンベンションホール (CH-A) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:高木 朗充(気象庁気象研究所)、宗包 浩志(国土地理院)、大湊 隆雄(東京大学地震研究所)、座長:高木 朗充(気象庁気象研究所)、宗包 浩志(国土地理院)

10:45 〜 11:00

[SVC29-07] 噴火前の地震発生推移の整理 -McNutt(1996)の包括的火山性地震群発モデルを参照して-

*高木 朗充1 (1.気象庁気象研究所)

キーワード:火山性地震活動、噴火前駆時間、McNuttモデル

火山噴火の前には火山性の地震活動が活発化することが知られており、McNutt(1996)の包括的火山性地震群発モデル(以下、McNuttモデルという)は、それを定性的に説明する古典的シナリオモデルである。
本研究では、McNuttモデルを参照しつつ、近年わが国で発生した27の噴火事例について、噴火前の地震発生推移を点検した。その結果、多くは地震活動のピークの後しばらくして噴火に至っているが、1977年有珠山噴火、2008年新燃岳の噴火および2018年の本白根山の噴火の3事例だけは例外であった。前者の2噴火は、噴火前には地震活動のピークはなく、後者の噴火は地震活動さえ全くなかった。
 McNuttモデルは8つのマグマ噴火を対象にしたものである。しかしながら、本研究では、前述した3噴火を除く24噴火の中には、水蒸気噴火も多く含まれる。McNuttモデルは、マグマに限らず、高温で多量の揮発性物質によってでも説明は可能である。
また、噴出量の対数と噴火前駆時間の対数の間には負の相関がみられた。(噴火前駆時間とは、噴火前90日間で、噴火時の地震数を超える最多の日以後から噴火日までとする。)この結果は、噴出物が大きい噴火ほど噴火前駆時間は短い傾向であることを示す。噴火に至る地震活動を監視することで、その後発生する噴火規模を評価できる可能性がある。