日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-09] 最先端の計測・SNS技術を環境・防災地図にどう生かすか?

2024年5月30日(木) 10:45 〜 12:15 展示場特設会場 (1) (幕張メッセ国際展示場 6ホール)

コンビーナ:作野 裕司(広島大学大学院先進理工系科学研究科)、土井 威志(JAMSTEC)、小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、宮地 良典(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、座長:土井 威志(JAMSTEC)、作野 裕司(広島大学大学院先進理工系科学研究科)

11:35 〜 11:55

[U09-07] 全国の都市地域における1960年代~70年代前半のDSM・DEM作成と公開に向けて

★招待講演

*吉田 一希1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:数値表層モデル、数値標高モデル、SfM-MVS解析、土地開発、森林、1960年代

高度経済成長期(1956~1972年)から現在にかけて、都市周辺では土地開発・森林伐採が進み、山地周辺では森林の伐採・植栽、農地の荒廃が進んだ。土地開発による造成地では、地震・大雨時における盛土地の崩壊・変状が問題となっている。また、森林・農地変遷の把握は、持続可能な森林経営や生物資源量の計測に重要である。これらの人工改変箇所や環境・土地利用の変遷を網羅的に把握するには、高精度な数値表層モデル(DSM)・数値標高モデル(DEM)を用いた時系列解析が有効である。しかし、現状では1990年代以前の全国的なDSM・DSMは存在しないため、過去との比較により現在の課題や性状を論じる際の障害となってきた。

そこで国土地理院では令和5(2023)年度から、過去の空中写真とSfM-MVS技術を用いて、これらの変遷の調査に必要な精度と効率性を両立した過去のDSM・DEMの作成手法に関する研究開発を行っている。この研究成果を用いて、全国の都市地域面積の80%(約9万km2)における1960年代~70年代前半の5mメッシュDSM・DEMとオルソ画像を作成し、令和7(2025)年度末までに公表する予定である。本発表では、SfM-MVS技術を適用する際の最適な処理パラメータ(使用する空中写真の年代・カメラによる違い等の条件に対応する最適値)の検討と、地上基準点(GCP)の配置する手法及び手順の検討の結果について報告する。また、人工改変地の抽出、火山活動・地すべりによる地形変化の解析、森林の伐採・植栽による表層高変化等について、サンプル地区における事例を紹介する。