日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-10] 日本学術会議とJpGU

2024年5月27日(月) 13:45 〜 15:15 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:佐竹 健治(東京大学地震研究所)、三枝 信子(国立環境研究所)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:佐竹 健治(東京大学地震研究所)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)

14:15 〜 14:30

[U10-03] 日本学術会議における理学・工学系の活動と分野間連携

*沖 大幹1 (1.東京大学大学院工学系研究科)

キーワード:日本学術会議、理学・工学系、分野間連携、課題解決

日本学術会議は1949(昭和24)年の設立以来、文、法、経、理、工、農、医の7分野にわかれていたが2005(平成17)年の改革で再編されて第一部(人文・社会科学系)、第二部(生命科学系)、第三部(理学・工学系)の三部構成となっている。
第三部には、数理科学委員会、物理学委員会、地球惑星科学委員会、情報学委員会、化学委員会、総合工学委員会、機械工学委員会、電気電子工学委員会、土木工学・建築学委員会、そして材料工学委員会という10の分野別委員会が置かれている。JpGUに対応するのは地球惑星科学委員会であるが、他の分野別委員会にはかならずしもJpGUの様な個別学会の連合組織があるわけではなく、さらに細分化された分野を代表する個別学会の代表者と各分野別委員会とが直接連携している。JpGUの様な組織がない場合、広い観点からは似た分野であっても普段は学術的交流に乏しい近接分野を代表するような科学者同士が交流と相互理解を深める場として各分野別委員会は機能している。そのため、本来の役割である政府・社会に対する提言や科学への理解の増進、国際学術交流に加え、我が国を代表する科学者の能力開発にも日本学術会議は役立っていると考えられる。
また、2023年10月からの26期の会員選考にあたっては、「優れた研究又は業績がある科学者であることに加え、活動の実績等に照らして以下のいずれかの要件を備えていると認められる者であることを考慮する」として、「国内外の学術及び社会の動向を的確に把握し、科学・技術の発展方向を広い視野から展望して異なる専門分野間をつなぐことができること」と「国内外の学術及び社会の動向を的確に把握し、科学・技術の発展方向を広い視野から展望しつつ、政府や社会と対話し、課題解決に向けて取り組む意欲と能力を有すること」の2点が挙げられている。
すなわち、単に専門分野で業績があるだけではなく、他分野との協働能力や広い視野、課題解決に向けた意欲が今の日本学術会議会員には求められている。実際、第三部の理学・工学系同士の連携に加えて、生命科学や人文・社会科学と連携した日本学術会議ならではの提言や見解などが現在はさらに尊重されるようになっていて、個別の学会や学問分野だけで対応可能な意思の表出は日本学術会議でやるまでもないのではないか、という方向になりつつある。
これまでは、第三部の中における分野別委員会同士の情報共有や連携、さらには部を超えた協創的なとりくみが十分ではない部分もあったが、オンライン会議が全面的に可能になった状況も幸いし、そうした取り組みも進みつつある。
総合科学的な側面が強く、その知識が環境や防災の理解とより良く安全で快適な社会構築に資する地球惑星科学分野でも、ぜひ日本学術会議/地球惑星科学委員会の枠組みやその他の機会を通じた分野間連携ならびに社会との協創によって、学術のさらなる発展と新たな展開を推進できると期待する。