日本地球惑星科学連合2024年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-10] 日本学術会議とJpGU

2024年5月27日(月) 15:30 〜 17:00 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:佐竹 健治(東京大学地震研究所)、三枝 信子(国立環境研究所)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、高橋 幸弘(北海道大学・大学院理学院・宇宙理学専攻)、座長:三枝 信子(国立環境研究所)、佐竹 健治(東京大学地震研究所)

16:30 〜 16:45

[U10-11] JpGUの教育・人材育成活動について

*阿部 なつ江1,2 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構、2.金沢大学大学院自然科学研究科)

キーワード:地学教育、履修率、教育検討委員会、アースサイエンスウィーク・ジャパン、ダイバーシティ推進委員会

2015年文科省の調べによると、全国の高校における「地学基礎」の開設率・履修率は、それぞれ43.7%と26.2%で、「地学」となると8.8%と0.9%という低い水準であることが示されている。高校において、「地学」または「地学基礎」を履修している生徒は約30%で、履修していない生徒が約70%を占める結果となっている。特に、理系進学者の地学または地学基礎の履修率が低い。自然災害が多い日本において、地学を学ぶ機会が少ないことは、防災・減災の取り組みの上でも大きな問題と思われる。
 JpGUでは、教育検討委員会をはじめとして、このような初等・中等教育での地学教育に関する諸問題の議論を行い、人材育成に関わる数々の活動を行っている。例えば教育検討委員会では、教員研修会(旧教員免許状更新講習会)を開設し、教員への研修機会を設けているほか、地学オリンピック指導・引率に携わっている。さらにAmerican Geoscience Institute(AGI)と協力し10月にアースサイエンスウィーク・ジャパンとして全国各地で一般も含めた教育普及活動を行っている。AGIとの共同は国内行事に留まらず、2023年1月には、国内のSSHなどの高校生と米国・欧州の高校生と、NASAや国内の研究者とをオンラインで結んで、交流・研究指導の機会を設けた。また、JpGU大会にて防災教育セッションを開催。さらに、教員養成課程における諸問題などにも取り組んでいる。
 一方ダイバーシティ推進委員会が中心となり、女子中高生夏の学校に毎年参画したり、JpGU大会等を利用し、大学生を中心としたキャリア相談会を開催している。2020年〜2022年の大会時には、パブリックセッションを開催し、博士や研究者の仕事を紹介してきた。2024年にはこのセッションを発展させ、パブリックデーにイベントとしてブースにおいて高校生を中心とした若手人材に寄り添った紹介の仕方を行う予定である。アース・サイエンス・ウィーク・ジャパンと協力し、野外観察や調査船等の屋外の研究現場からの生中継などを行い、その様子をYouTubeで公開したりしている。
 しかし、地学教育の問題は、この分野だけで完結するものではなく、理科教育全般やや防災教育といった幅広い分野での協力が不可欠である。本公演では、JpGUにおける教育・人材育成活動を紹介するとともに、今後取り組むべき課題について議論したい。