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[U15-P33] 経験的グリーン関数を用いた波形インバージョンによる能登半島地震の破壊過程の推定
キーワード：2024年能登半島地震、震源過程、波形インバージョン、経験的グリーン関数
経験的グリーン関数を用いた波形インバージョンにより2024年1月1日能登半島地震（MJ7.6）の破壊過程を推定した．対象周波数は0.2-2Hzとした．グリーン関数としては，本震波形と余震波形の位相特性の類似性をあらかじめ検討しておき，1月7日14:38の余震（MJ4.6），1月7日15:26の余震（MJ4.5），2月15日15:29の余震（MJ5.0）の記録を併用した．本震の震源断層をできるだけ取り囲むように，かつ余震記録の利用可能性にも配慮し，K-NETおよびKiK-netの8地点（図）を対象地点として選定した．上記の3つの余震の記録は佐渡島のNIG004でも得られていたためNIG004も対象地点に含めた．KiK-netの観測点に関しては表層地盤の非線形挙動の影響が相対的に小さいと考えられる地中での記録を使用した．EW成分とNS成分の速度波形（0.2-2Hzの帯域通過フィルタを適用した波形），計16成分をターゲットとした． インバージョンに使用したのはS波を含む20秒間である．断層面としては国土地理院による矩形断層モデルの3枚の断層面を用いたが，気象庁の震源を投影できるように断層3は下方に延長した．気象庁の震源を投影した点において気象庁の震源時刻（16:10:22.57秒）に破壊開始すると仮定したが，ISKH02とISK003の波形の先頭部分をまったく再現できなかったため，断層2は10秒早く破壊すると仮定した．結果については図に示すが，断層3の破壊開始点付近と断層1の浅部ですべりが大きかったとの結果が得られた．算定されたモーメントマグニチュードは断層1がMw6.7，断層2がMw6.7，断層3がMw7.3となった．ただし波形の再現性が低い観測点もありさらに検討を要する．