17:15 〜 18:45
[U15-P81] 令和6年能登半島地震による能登半島沿岸部の地震時隆起量
キーワード:令和6年能登半島地震、地震時隆起、航空レーザ計測、海棲生物、活断層セグメント
2024年1月1日16時10分に能登半島北東部を震源とする地震(Mj=7.6)が発生した.この地震により石川県で最大震度7を観測したほか,能登地方の広い範囲で震度6弱以上の揺れを観測し,甚大な被害を被った.この地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で,断層の上盤側にあたる能登半島北岸の北西部では,合成開口レーダー画像の解析により,最大4m程度の隆起が検出されている(国土地理院,2024).
能登半島北方沿岸域では複数の活断層セグメントの存在が知られており(井上・岡村,2010),この活断層セグメントのうち,門前沖セグメントは,2007年に活動したことが明らかにされている(佐藤ほか,2007).その際の地震時隆起量については,貝類等の海凄生物の分布高度(Hiramatsu et al., 2008)や,航空レーザ計測データによる2時期の標高値の差分(野原ほか, 2007)から検討され,これらの手法は,隆起量の推定において有効であることが確認されている.
本研究では,令和6年能登半島地震の活動による地殻変動を把握するため,能登半島北部の海岸線に沿って,地震時隆起量について調査した.調査は,(1)海凄生物指標を用いた手法,(2)航空レーザ計測から取得した点群データを用いた手法により実施した.(1)では,潮間帯に生息する海棲生物であるヤッコカンザシやカキ類,潮下帯に分布する海藻類を指標として,それらの高さをGNSS測量によって計測した.また(2)では,地震後の航空レーザ計測により取得した点群データと,地震前(主に2007~2010年)に取得済みの点群データを用いて,CCICP(Classification and Combined Iterative Closest Point)手法(Oda et al., 2016)により2時期の点群間の3次元的な移動量を求めることで,地震前後の隆起量を推定した.
上記(1)の手法では,現地で直接,地震時の隆起量を計測することができるが,広い範囲における隆起傾向を把握するには,多数の地点を調査する必要がある.一方で,(2)の手法では,面的に広範囲にデータを取得することができ,2時期間のデータを比較することで地盤の上下変位成分を把握することができる.ただし,地震前の点群データの取得時期や場所によっては,今回の地震による隆起以外の上下変位成分を含む可能性や,斜面崩壊等に起因する地形変化の影響を受け,地殻変動量を精度よく見積もることができない可能性も考えられる.そのため,本研究では,上記(1),(2)の手法を組み合わせることで,広い範囲でより精度の高い隆起量分布の取得を試みた.それにより明らかとなった能登半島沿岸における全体的な隆起傾向について報告する.なお,海凄生物を用いた現地調査については,地震によって道路が寸断された箇所が未だ多く,未調査となっている区間も多くあるため,暫定的な報告となる.
最後に,今回の地震によりお亡くなりになられた方々には謹んでお悔やみ申し上げますとともに,被災された皆様にも心よりお見舞い申し上げます.
能登半島北方沿岸域では複数の活断層セグメントの存在が知られており(井上・岡村,2010),この活断層セグメントのうち,門前沖セグメントは,2007年に活動したことが明らかにされている(佐藤ほか,2007).その際の地震時隆起量については,貝類等の海凄生物の分布高度(Hiramatsu et al., 2008)や,航空レーザ計測データによる2時期の標高値の差分(野原ほか, 2007)から検討され,これらの手法は,隆起量の推定において有効であることが確認されている.
本研究では,令和6年能登半島地震の活動による地殻変動を把握するため,能登半島北部の海岸線に沿って,地震時隆起量について調査した.調査は,(1)海凄生物指標を用いた手法,(2)航空レーザ計測から取得した点群データを用いた手法により実施した.(1)では,潮間帯に生息する海棲生物であるヤッコカンザシやカキ類,潮下帯に分布する海藻類を指標として,それらの高さをGNSS測量によって計測した.また(2)では,地震後の航空レーザ計測により取得した点群データと,地震前(主に2007~2010年)に取得済みの点群データを用いて,CCICP(Classification and Combined Iterative Closest Point)手法(Oda et al., 2016)により2時期の点群間の3次元的な移動量を求めることで,地震前後の隆起量を推定した.
上記(1)の手法では,現地で直接,地震時の隆起量を計測することができるが,広い範囲における隆起傾向を把握するには,多数の地点を調査する必要がある.一方で,(2)の手法では,面的に広範囲にデータを取得することができ,2時期間のデータを比較することで地盤の上下変位成分を把握することができる.ただし,地震前の点群データの取得時期や場所によっては,今回の地震による隆起以外の上下変位成分を含む可能性や,斜面崩壊等に起因する地形変化の影響を受け,地殻変動量を精度よく見積もることができない可能性も考えられる.そのため,本研究では,上記(1),(2)の手法を組み合わせることで,広い範囲でより精度の高い隆起量分布の取得を試みた.それにより明らかとなった能登半島沿岸における全体的な隆起傾向について報告する.なお,海凄生物を用いた現地調査については,地震によって道路が寸断された箇所が未だ多く,未調査となっている区間も多くあるため,暫定的な報告となる.
最後に,今回の地震によりお亡くなりになられた方々には謹んでお悔やみ申し上げますとともに,被災された皆様にも心よりお見舞い申し上げます.