第49回日本理学療法学術大会

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発表演題 ポスター » 神経理学療法 ポスター

発達障害理学療法3

2014年5月31日(土) 14:50 〜 15:40 ポスター会場 (神経)

座長:日浦伸祐(社会医療法人大道会森之宮病院リハビリテーション部)

神経 ポスター

[1141] 短下肢装具足継ぎ手が歩容に与える影響

古南美紀子1, 神谷昌彦1, 吉村信世1, 山田和政2, 阿部友和2, 鈴木昭宏3 (1.かじた子どもクリニック, 2.星城大学リハビリテーション学部, 3.株式会社松本義肢製作所)

キーワード:脳性まひ, AFO, 足継手

【目的】
近年,短下肢に用いられる足継手は,様々な材料と機能を有するものが開発され,使用されている。最も重要な機能のひとつとして,関節角度の制限・制動・補助が挙げられる。しかし,歩容に与える影響についての報告は少ない。
本研究は,簡便かつ定量的に調整可能な機能を持つ足継手NEURO SWINGを用いた短下肢装具に着目し,足継手の機能が歩容に与える影響を検討した。
【方法】
対象は,Gross Motor Function Classification System(以下GMFCS)レベル2の痙直型両麻痺と診断された13歳女児で他院にて同時多部位手術を受けている。現在MMT膝関節屈曲右4,左5,伸展左右5。足関節背屈左右5,底屈右1,左2である。ROMは膝関節屈曲左右とも145°,伸展左右とも0°。足関節背屈左右とも5°,底屈左右とも40°である。
使用する装具はカーボンファイバーを補強材とし,熱硬化性樹脂にて成形した短下肢装具である。ソールは硬性とし,足指は伸展状態で固定した。足継手は外側のみとし,NEURO SWINGを使用した。NEURO SWINGとは,底背屈方向へのアライメントや可動域を個別に調整できる足継手である。また,関節可動域の制動のためにスプリングユニットを挿入する仕組みになっている。スプリングユニットは,硬度が5タイプあり,弱い順に,青色,緑色,白色,黄色,赤色と色分け表示されており,必要に応じて選択できる。
方法は,裸足,パターン1(足関節底屈10°・背屈15°制限,スプリングユニット底屈赤色・背屈白色),パターン2(足関節底屈10°・背屈15°制限,スプリングユニット底屈黄色・背屈緑色)の3条件下において至適速度での歩容を,三次元動作解析装置(ANIMA社製MA2000)にて解析・比較した。
【説明と同意】
本研究の主旨を対象者本人およびその家族に口頭にて十分に説明し同意を得た。
【結果】
平均歩行速度は,裸足では平均63.92cm/s,パターン1では76.14cm/s,パターン2では72.14cm/sであった。裸足に比べて装具を使用した方が歩行速度は上がったが,パターン2よりパターン1のほうがより速度は速くなった。
歩幅は,裸足では36.44cm,パターン1では39.04cm,パターン2では40.45cmであった。裸足に比べて装具を使用した方が歩幅の増大が見られ,パターン2よりパターン1のほうがより小さくなった。
ケーデンスにおいても,裸足と比べて装具を使用した方がケーデンスの増加が見られた。そして,足関節モーメントでは,裸足と比べて装具を使用した方が明らかな二峰性となり,それはパターン1の方が明らかであった。
今回の研究結果は,本症例において,硬度が強いスプリングユニットを使用した装具を装着した場合,歩行速度は上がり,歩幅は減少した。
スプリングユニットの硬度が強いと反発力が強く生じている事で,それにより立脚中期から後期にかけて足部の背屈方向へ制動力がかかり,その反力として推進力が促されたのではないかと考える。
【考察】
本研究から,足継手による,底屈・背屈制動が歩容に影響を与えることが改めて示唆された。足部の動きを固定し過ぎる状態も足部が不安定な状態も,ともに歩容に与える影響があり,スプリングの硬度を選択・調整できるNEURO SWING足継手は,歩容状況に応じて対応することが可能である。最適な歩容を獲得するには,制動力が定量的かつ簡便に調整できる必要があると考える。
今回の研究結果を指標にし,今後より症例数を増やしさらに検討していきたい。