第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

症例研究 ポスター7

内部障害/循環2

2015年6月6日(土) 16:10 〜 17:10 ポスター会場 (展示ホール)

[P2-C-0401] 心不全を呈した四肢不全麻痺の症例に対して人工透析導入後,急性期病院より直接自宅退院を目指した経験

宮村大治郎, 安部諒, 舘野純子, 谷直樹, 姫島美幸, 門手和義, 永井勝信, 大黒篤 (自治医科大学附属さいたま医療センター)

キーワード:血液透析, 心不全, 四肢麻痺後遺症

【目的】
血液透析を導入した患者は,リハビリテーション目的の転院に難渋する事が多い。今回,既往に後縦靭帯骨化症による四肢不全麻痺がある症例が,心不全,腎不全を呈し血液透析導入となったが,急性期病院より直接自宅退院を目指して理学療法介入する経験を得たため報告する。
【症例提示】
55歳,男性。診断名,心不全,腎不全。既往に,後縦靭帯骨化症,肢帯型筋ジストロフィー。入院前ADLは,車いす使用して自立し,一般企業に就労。身長:169cm,体重:98.5kg,NYHAIV,EF36%,Dd/Ds 72/59mm,TRPG20mmHg,BNP182.7pg/ml。
【経過】
心不全にて入院後5病日で,理学療法開始。入院後,薬物療法(カテコラミン製剤投与等)や補助換気療法などが実施されるも尿量が維持できず腎機能も悪化し,まず持続透析,次いで間欠透析を導入する事となった。62病日,透析導入後に全身状態が改善傾向にあったため,作業療法士と協働して移乗動作能力向上目的に積極的に介入を開始した(体重75.8kg,BNP252.4 pg/ml,積極的介入中の心エコーでEF57%,Dd/Ds 67/46mm,TRPG13.7mmHg)。また,NST介入にて,摂取タンパク質の量やエネルギー量の調整が開始された。握力は積極的な介入後の1ヶ月間で改善傾向(右)12.7kg左)8.0kg→右)14.6kg,左)10.9kg)にあるが,移乗動作の介助量は変化なし(重度介助)。多職種合同カンファレンスによって方針を確認しつつ,自宅退院を目標として介入継続中である。
【考察】人工透析導入により心不全は代償化されているため,体液管理や心負荷を考慮して上肢の筋力強化を中心とした移乗動作の獲得を早急に進めて社会復帰を目指していく必要がある。