[3F1-GS-10i] AI応用：医療情報

[3F1-GS-10i-02] 心エコーの小規模データセットを用いた深層学習による心疾患診断手法の提案

〇中本 光彦¹、勝然 進¹、小寺 聡¹、篠原 宏樹¹、仁宮 洸太¹、東邦 康智¹、藤生 克仁¹、赤澤 宏¹、小室 一成¹ (1. 東京大学医学部附属病院循環器内科)

キーワード：小規模データセット、事前学習、三次元畳み込みニューラルネットワーク、心エコー

近年，深層学習を用いた医用データの解析は盛んに行われているが，多くの場合は大規模なデータセットが必要となる．しかし，医療の分野では大規模なデータ収集が困難な場合も多く存在し，心サルコイドーシス患者の心エコー動画はその１つである．本研究では，当院で収集した302件の心エコー動画から成る小規模なデータセットから，深層学習を用いて心サルコイドーシスを診断する手法を確立することを目的とした．その際，2Dモデルや3Dモデルを含む様々なモデル・アーキテクチャの比較や，心エコー動画のオープンデータを用いた事前学習の導入を検討し，大規模なデータ収集が困難な特定疾患の心エコー動画データの効果的な解析方法を提案する．その結果，3Dモデルの方が2Dモデルよりも高い性能を発揮し，事前学習を行うことにより診断精度はAUC 0.761 (95% CI 0.610, 0.911) から0.841 (95% CI 0.716, 0.968)に向上した．心エコー動画の解析において，時系列方向の特徴も学習する3Dモデルは，従来の2Dモデルよりも高いパフォーマンスを発揮し，事前学習を用いることでさらなる精度向上につながることが確認された．