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[III-YS-04] 暑熱ストレス指標としての乳脂肪酸組成の検討
【目的】乳牛の夏季の生乳生産性を改善するためには,暑熱負荷の早期把握と適切な対応が求められる.乳牛個体の暑熱ストレス評価には体温・呼吸数が用いられるが,必ずしも実用的ではない.そこで,新たな暑熱ストレス指標として乳脂肪酸組成に着目し,その有用性を検討した.【方法】2018年7月に群馬県畜産試験場において,初産のホルスタイン種乳牛16頭を供試した.実験1:体温が39.0℃未満の牛を低体温区(L区),39.0℃以上の牛を高体温区(H区)として生理諸元について比較した.測定・分析項目は,体温,呼吸数,飼養成績,ルーメン液性状,血液性状,乳脂肪酸組成(中赤外分光法)とした.統計処理は,分娩後週齢を補助変数とした共分散分析法により行った.実験2:測定・分析項目を用いた変数増減法による判別分析を行い,体温の高低を判別した.【結果】実験1:血液性状では,H区において血漿中尿素窒素(BUN)が有意に低くなった.乳脂肪酸組成については,H区においてC8:0, C10:0, C12:0, C14:0, C14:1の割合が有意に低くなり,C18:2の割合が有意に高くなった.実験2:BCS,ルーメン液酢酸モル比を用いた判別式による誤判別率は25%,BCS,BUNを用いると19%,BCS,C14:0を用いると12.5%であった.以上より,乳脂肪酸組成を用いて暑熱ストレスの強弱を判別できる可能性が示唆された.