第94回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表(ODP)

6 病原因子と生体防御

[ODP6A] a. 接着因子・定着因子

[ODP-115] N末追加ドメインを持つS. mitis由来5ドメイン型コレステロール依存性細胞溶解毒素の2元的な宿主細胞結合性

○池田 拓也1,田端 厚之1,2,友安 俊文1,2,高尾 亜由子3,大國 寿士4,長宗 秀明1,2 (1徳島大院・創成科学研究科・生物資源学専攻,2徳島大院・社会産業理工学・生物資源産業学,3鶴見大・歯・口腔微生物,4(株)保健科学東日本)

【目的】Streptococcus mitisが産生する5ドメイン型コレステロール依存性細胞溶解毒素(ExD-CDC)のN末追加ドメイン(ExD)で,レクチンとしての機能が示唆されるExDに注目し,ヒト由来細胞とExD-CDCの相互作用を明らかにすることを目的として検討を行った。
【方法】これまでのS. mitis Nm-76株(N株)とA21-10A株(A株)に由来するExDの構造が異なるExD-CDCの比較により,N株由来ExD-CDCオリゴマー構造中のExDはヒト由来細胞への結合性に関与する可能性が示唆された。そこで,その結合特性を明らかにするために,N株とA株由来のExD-CDC組換え体やそれらのExDスワップ体,さらにExDのレクチン活性を担うと推定されるアミノ酸残基のアラニン置換体を調製し,それらのプレポアオリゴマーを細胞膜上に持ったヒト単球系細胞株THP-1のヒト肝癌由来細胞株HepG2に対する結合性を検討した。
【結果と考察】N株ExD-CDCのExDをA株由来ExDにスワップすると,プレポアオリゴマーを介したヒト細胞間の結合性が大きく低下した。次にアラニン置換体を用いた場合では,その結合性が有意に低下した。このことから,N株タイプのExD-CDCでは,細胞膜結合性を示すドメイン4だけでなく,レクチン作用を介してExDもヒト細胞との相互作用に寄与することが示された。本研究でExD-CDCの持つ2元的な結合特性が明らかとなり,膜孔形成だけでなく,血液細胞の凝集や血管内皮 ⁄ 組織への沈着等,ExD-CDCの病原因子としての新たな機能特性に注目してさらに解析を進めている。