The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

On-demand Presentation

[ODP22] 5. Pathogenicity -b. Toxins, effectors and physically active substances

[ODP-138] Serine clamp of Clostridium perfringens binary toxin CPILEb induces the strong cytotoxicity

Toru Yoshida1, Yuto Uchida2, Tomohito Yamada2, Hideaki Tsuge2 (1Dept. Chem. Biol. Sci., Japan Women’s Univ., 2Fac. Life Sci., Kyoto Sangyo Univ.)


Clostridium perfringensは人に対する食中毒の原因菌の一種であり,その病原因子はC. perfringens enterotoxin(CPE)である.しかし近年,cpe遺伝子を持たないC. perfringens株による食中毒が日本で発生し,CPEに代わる病原因子としてC. perfringens iota-like enterotoxin(CPILE)が同定された.CPILEは二成分毒素であり,他の二成分毒素と同様に,標的細胞のアクチンをADPリボシル化するCPILEaおよび,標的細胞膜上で多量体化して膜貫通孔を形成し,この孔内を通してCPILEaを標的細胞内へ輸送するCPILEbから構成される.しかし,CPILE以外の二成分毒素と異なり,なぜCPILEが人に対する食中毒の病原因子となり得るのかはよく分かっていない.
一般的に二成分毒素は,二成分が存在して初めて細胞毒性や腸管への水分貯留をもたらす.その一方で,CPILEはCPILEbのみで腸管に水分貯留をもたらす.本研究では,CPILEがなぜこのような特徴を有するのかを明らかにすることを目的とした.CPILEbでは,他の二成分毒素では完全に保存されている,膜貫通孔の最狭窄部位を形成するフェニルアラニンがセリンに置換されていた.ここに注目して,セリンをフェニルアラニンに置換したCPILEb変異体を調製し,細胞毒性をCPILEb野生型と比較した.その結果,最狭窄部位がセリンである場合,細胞毒性が強まることを明らかにした.この結果と高分解能のIb膜孔構造から,その毒性の発現機構を考察する.