第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

患者管理

[O120] 一般演題・口演120
患者管理05

2019年3月2日(土) 09:45 〜 10:35 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:仁科 典子(大阪警察病院看護部管理室)

[O120-4] 集中治療後3ヶ月後での身体機能についての調査

川端 淳美1, 穴井 聖二1, 岸 ゆつき1, 中本 啓太1, 竹本 亜耶1, 濱田 明奈1, 楠本 真弓1, 内芝 秀樹1, 中島 強2, 宮本 恭兵2 (1.和歌山県立医科大学附属病院 高度救命救急センター ICU, 2.和歌山県立医科大学 救急集中治療医学講座)

【目的】集中治療室(以下、ICU)での重症患者の救命率が向上している一方で、患者の長期的な機能障害に関心が向けられるようになった。ICU退室後6ヶ月の時点で患者の64%で動作の障害が生じると海外での報告はあるが、日本での実態は不明である。そこで今回はICUを退室した患者への身体的な影響と実態を調査した。【方法】2016年9月1日から2018年3月31日までにICUを退室した成人の救急患者を対象とし、退室3ヵ月後にアンケートを送付した。ただし、48時間以内に退室が予測される患者、入室前のバーセルインデックス(以下、BI)60点未満の患者は除外した。入院前BIが60点以上の人が3ヵ月後も60点以上である群をBI低下なし群、60点未満に低下した群をBI低下あり群とした。BIから各群の年齢、人工呼吸器装着期間、ICU入室期間等について分析した。また、新たに出現した症状を「体の痛み」「疲れやすさ」」「筋力低下」など9項目の中から選択したものを集計した。なおBIは60点以上で自立、60点未満だと非自立である。【結果】125人にアンケートを送付し、99人から回答を得た(回収率79%)。全体の平均年齢は68.3±14.7歳、性別は男45人(55%)、疾患分類はとして多かったのは敗血症40%、外傷15%だった。BIの各項目の得点では歩行で最も低下し、次いで階段昇降、移動で得点の低下がみられた。新たに出現した症状では「筋力低下」が39人(48%)で最も多く、「疲れやすさ」で30人(37%)、「体の痛み」で17人(20%)であった。対象者の内BI低下なし群は67人(80%)で、低下あり群は16人(20%)であった。BI低下なし群の平均年齢は65.1±14.8歳で、低下あり群では71.0±15.1歳であった(p=0.13)。ICU入室期間はBI低下なし群で6.6±5.6日、人工呼吸器装着期間はBI低下なし群で5.3±4.9日、BI低下あり群では5.9±4.4日であった。3ヵ月後自宅で生活できている人はBI低下なし群で54人(80%)、低下あり群で4人(25%)であった(p=0.001)。【結論】 今回の研究では、ICU退室後BI60以下になった割合は20%と低かった。3カ月後BI低下していない群の80%の患者が自宅での生活に戻ることができていることがわかった。しかし、自宅で生活できていても、筋力低下や疲れやすさなどを感じている人が多く、下肢筋力の低下もみられており、それらに対する取り組みを行っていく必要があると考えた。