[O156-5] スピーチカニューレを使用したままマスクで非侵襲的人工呼吸療法(NPPV)を導入した2症例
【背景】スピーチカニューレ(SC)患者にNPPVを用いることは一般的ではない。ICU退室後に呼吸不全を呈し、SCのままマスクでNPPVを導入してSC抜去に至った2症例を経験したので報告する。
【症例1】肥満低換気症候群および閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症例
70歳台、男性、BMI35kg/m2。うっ血性心不全の診断で他院より紹介搬送されICU入室し、人工呼吸管理にて心不全治療を開始、第9病日に気管切開術を施行した。第58病日に一般病棟へ転室、第69病日に人工呼吸器から離脱し酸素3L/分が開始され、第71病日にSCへ変更した。しかし第74病日の静脈血液ガス分析(VBG)にてPH7.29、PCO2 84mmHg、HCO3 40mmol/Lであり代謝性代償の限界と判断され、かつ睡眠時の上気道閉塞が観察されたため、第79病日にマスクによる夜間NPPVを開始した。圧設定は吸気時にスピーチバルブが開存せず、かつ上気道が開存するよう調整した。第82病日にSCを抜去し、第97病日に酸素離脱、退院前のNPPV無での無呼吸低呼吸指数67と重度であり、VBG PH7.38、PCO2 48、HCO3 28であり、第103病日に在宅NPPV(S/Tモード、IPAP12/ EPAP 6cmH2O) を夜間使用として自宅退院となった。
【症例2】うっ血性心不全による起坐呼吸の症例
70歳台、女性。僧帽弁置換術、心臓ペースメーカー埋込み術の既往があり、重症三尖弁閉鎖不全に対する外科的治療目的で他院より紹介搬送され低侵襲三尖弁置換術を施行し、ICUへ帰室した。右上葉からの出血や不安定な循環動態が続き、術後8日目に気管切開術を施行した。術後21日目に人工呼吸器離脱およびSCへ変更したが、起坐呼吸のために良眠できなくなった。術後27日目には日中の酸素が離脱でき、一般病棟へ転室した。また、SCのままマスクで夜間のNPPV (S/Tモード、IPAP 6/EPAP 5、FIO2 0.25 ) を開始したことで臥位での睡眠が可能となった。術後31日目に自己喀痰が困難なためSCをミニトラックへ変更し、術後34日目にはNPPVを終了、術後37日目にミニトラックの抜去に至った。術後45日目に回復期リハビリテーション病院へ転院した。
【結論】SCを継続したままマスクでNPPVを導入したことで、侵襲的人工呼吸管理へ戻ることなくSCを抜去でき、亜急性期呼吸管理における選択肢となり得た。
【症例1】肥満低換気症候群および閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症例
70歳台、男性、BMI35kg/m2。うっ血性心不全の診断で他院より紹介搬送されICU入室し、人工呼吸管理にて心不全治療を開始、第9病日に気管切開術を施行した。第58病日に一般病棟へ転室、第69病日に人工呼吸器から離脱し酸素3L/分が開始され、第71病日にSCへ変更した。しかし第74病日の静脈血液ガス分析(VBG)にてPH7.29、PCO2 84mmHg、HCO3 40mmol/Lであり代謝性代償の限界と判断され、かつ睡眠時の上気道閉塞が観察されたため、第79病日にマスクによる夜間NPPVを開始した。圧設定は吸気時にスピーチバルブが開存せず、かつ上気道が開存するよう調整した。第82病日にSCを抜去し、第97病日に酸素離脱、退院前のNPPV無での無呼吸低呼吸指数67と重度であり、VBG PH7.38、PCO2 48、HCO3 28であり、第103病日に在宅NPPV(S/Tモード、IPAP12/ EPAP 6cmH2O) を夜間使用として自宅退院となった。
【症例2】うっ血性心不全による起坐呼吸の症例
70歳台、女性。僧帽弁置換術、心臓ペースメーカー埋込み術の既往があり、重症三尖弁閉鎖不全に対する外科的治療目的で他院より紹介搬送され低侵襲三尖弁置換術を施行し、ICUへ帰室した。右上葉からの出血や不安定な循環動態が続き、術後8日目に気管切開術を施行した。術後21日目に人工呼吸器離脱およびSCへ変更したが、起坐呼吸のために良眠できなくなった。術後27日目には日中の酸素が離脱でき、一般病棟へ転室した。また、SCのままマスクで夜間のNPPV (S/Tモード、IPAP 6/EPAP 5、FIO2 0.25 ) を開始したことで臥位での睡眠が可能となった。術後31日目に自己喀痰が困難なためSCをミニトラックへ変更し、術後34日目にはNPPVを終了、術後37日目にミニトラックの抜去に至った。術後45日目に回復期リハビリテーション病院へ転院した。
【結論】SCを継続したままマスクでNPPVを導入したことで、侵襲的人工呼吸管理へ戻ることなくSCを抜去でき、亜急性期呼吸管理における選択肢となり得た。