[O20-2] 高度血管内溶血を呈したClostridium perfringensによる急性胆管炎の1例
【背景】Clostridium perfringens(C.perfringens)感染症では、発症すると高頻度に敗血症および高度溶血を合併し,急激な経過を辿り短時間で死亡することが多い。起因菌の同定と早期の治療開始と集学的治療により救命しえた1例を報告する。【臨床経過】症例は80歳代女性。意識障害のため前医へ救急搬送された。前医で撮影された単純CTで縦隔気腫がみられ、食道穿孔を疑われたため加療目的に当院へ紹介転院となった。当院来院後に撮影した造影CTや上部消化管内視鏡では食道穿孔を示唆する所見に乏しく、肉眼的血尿(潜血3+)や溶血所見(T.Bil:16.4mg/dL、D.Bil:3.6mg/dL、LDH:1948U/L)、縦隔気腫の原因は特定できなかった。しかし、総胆管結石がみられたため急性胆管炎・敗血症性ショックと判断し、抗菌薬MEPM投与を開始し、気管挿管・人工呼吸管理下にPTGBDを施行した。第2病日に胆汁培養からグラム陽性桿菌を検出し、C.perfringensを想定した。さらに、末梢血塗抹標本で破砕赤血球はみられず多数の球状赤血球がみられたことから、本症例はC.perfringensによる急性胆管炎であったと考えられた。第8病日に全身状態は安定したため人工呼吸器から離脱した。第13病日にPTGBD造影検査を行い総胆管結石、閉塞性黄疸の所見がみられたため、第15病日にERCPを施行、フォローCT検査で縦隔気腫は消失、第19病日に一般病棟へ転棟となった。【結論】本症例では当初、高度の溶血所見、縦隔気腫といった所見を一元的には説明できなかったが、感染源と思われる胆汁からのグラム陽性桿菌検出や多数の球状赤血球出現といった検査結果からC.perfringens感染症を想起し治療することができた。高度の溶血所見やガス像がみられる感染症の場合、C.perfringens感染症の可能性を考え、早期に集学的治療を開始する必要がある。