第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

蘇生 研究

[O49] 一般演題・口演49
蘇生 研究02

2019年3月1日(金) 16:00 〜 17:00 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:大谷 典生(聖路加国際病院 救急部・救命救急センター)

[O49-6] ドクターカー症例の現状と意義

市原 利彦, 中島 義仁, 川瀬 正樹, 横山 俊樹 (公立陶生病院 救急救命センター)

(目的)現場救急医療に関してドクターカーの有効性が昨今取り出されている。当初ワークステーション方式のドクターカーを導入し、3年前から救急業務サポートチーム(ER-Aide)による病院のドクターカーを導入し運用を開始した。その現状と意義を検討する。(対象)当院は2006年からドクターカーを消防と連携しワークステーション方式で導入していたが、今回救命救急センター業務サポートチーム(ER-Aide)を立ち上げ、病院のドクターカーを導入し運用を開始した。平成27年3月からER-Aideによる運転で週3回日勤帯のみとした。活動圏を3市に拡張した。車両は四駆のSUVで、現場で医師と看護師がドッキングし、救急車で搬送する体制である。内因性が95%を占め、キャンセル20%、他院搬送12%である。過去3年間にDrカーで出動日のCPA対応症例A群とし、通常の救急隊対応のCPA症例をB群とし比較検討した。A群42例で男性20例、女性22例、平均年齢76.0歳、B群374例で男性223例、女性151例、平均年齢73.0歳であった。 (結果)A群死亡は28例(66.6%)、B群の死亡は339例(90.6%)ROSCし入院した症例は、A群14例(入院率33%)、B群35例(入院率9%)であった。ROSC率と社会復帰率は統計学的に有意にA群が高値であった。しかし入院できた症例における最終的救命例(独歩退院、施設転院を含めた)は、A群6例、B群8例であり、入院できた症例においての救命率には統計学的有意差を認めなかった。(考察)Drカー出動により救命率向上には至らなかったがROSC率は有意に向上していた。今回の後方視的研究は接触時Vf、Asystole、PEAも混在していることと接触時CPAと搬送中のCPAも混在しているので疾患、接触時のみの統計であると異なった見解になる可能性はあると判断する。またDrカーでの効果、意義は現場でのDNARの確認、不搬送の判断などがありER業務に対し不用な医療行為を削減できることも示唆された。 (結語)Drカーの活動は救命率の統計学的な向上は認めなかったが、現場判断が必要な医療の整理、統括において有意義と考えられ今後の救命率向上が期待された。