[O50-5] 院外心停止患者の初期心電図波形から病着時心電図波形への変化による予後予測
【背景】院外心停止患者では除細動を含む心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation: CPR)などの病院前処置が行われることから、病院到着時の心電図波形は初期波形より変化し得る。搬送中の心電図波形変化が院外心停止患者の予後予測に有用である可能性がある。【方法】2014年6月~2015年12月に救急医学会院外心停止レジストリに登録された18歳以上の院外心停止患者を対象としたコホート研究である。初期波形をshockable rhythmとunshockable rhythmの2群に、病院到着時波形をshockable rhythm、pulseless electrical activity(PEA)、心静止、心拍再開の4群に分け、それらを組み合わせた8群により比較した。ほかに調整因子として年齢、性別、目撃の有無、バイスタンダーCPRの有無、病院前薬剤投与の有無、病院前高度気道確保の有無、病院前医師出動の有無、搬送時間などの病院前因子を含め、ロジスティック回帰分析にて発症後30日の生命・神経学的転帰への影響を検討した。【結果】全12865症例中、30日生存1154症例(9.0%)、30日神経学的転帰良好431症例(4.5%)であった。30日生存を予測する因子として、初期波形shockable、病院到着時shockable、病院到着時PEA、病院到着時心拍再開、30日神経学的転帰良好を予測する因子として初期波形shockable、病院到着時shockable、病院到着時PEA、病院到着時心拍再開、病院前かつ病院到着が挙げられた。【考察】shockable rhythmは病院前、病院到着後のいずれに出現しても良好な30日転帰を示唆するが、病院前から病院到着後までshockable rhythmが継続すると30日神経学的転帰は不良である。この結果を踏まえ、体外循環式心肺蘇生(ECPR)の適応に活用できる可能性がある。【結語】病院前初期心電図波形と病院到着時心電図波形は予後予測に有用である。