第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

検査法・モニタリング

[O62] 一般演題・口演62
検査法・モニタリング02

2019年3月1日(金) 15:40 〜 16:30 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:野﨑 歩(社会福祉法人京都社会事業財団京都桂病院薬剤科)

[O62-4] 超音波ガイド下上腕PICCにおける実測値と予測値の関連についての臨床的検討

石渡 智子1, 大垣 美千代2, 渡邊 成美1, 小川 史洋3, 豊田 洋1 (1.済生会横浜市南部病院 救急診療科, 2.済生会横浜市南部病院 麻酔科, 3.横浜市大付属市民総合医療センター 高度救命救急センター)

【背景】末梢留置型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter:PICC)は、穿刺に伴う致死的合併症の少なさや感染率の低さが注目され、中心静脈へのアクセスルートとして普及がすすんでいる。PICCはベッドサイド挿入も可能だが、挿入長が長くカテーテル先端位置の予測が難しい。挿入長予測値の検討により、ベッドサイドでPICC挿入する際の技術向上に寄与することを期待する。【目的】PICC挿入時のカテーテル挿入長について、体表面からの計測値と比較し挿入長の予測値を検討する。【方法】2017年1月-2018年8月まで、当施設で診療看護師が介入しエコーガイド・透視下でPICC挿入を行い、カテーテル位置異常のない患者124例を対象とした。実際のPICC挿入長と、体表面からメジャーを用いて計測した値の誤差、挿入部位、使用製品、患者属性(年齢、性別、身長、体重、BMI)による影響について、後方視的に比較検討した。体表面からの計測は、刺入部より右鎖骨頭と右鎖骨頭から第3肋間胸骨右縁を足した距離とした。【結果】患者背景は、男性75例、女性49例の総数124例であった。年齢は平均71.4±12.8(17-93)歳、身長平均160.2±9.8(140.6-182.0)cm、体重平均51.4±11.3(29.4-88.2)kg、BMI平均19.9±3.6(13.4-32.4)であった。挿入部位は左尺側皮静脈40例、挿入長平均37±3.8cm、左上腕静脈36例、挿入長平均37.3±3.0cm、右尺側皮静脈25例、挿入長平均34±3.1cm、右上腕静脈23例、挿入長平均32.6±3.5cmであった。左右の挿入長は、左上腕平均37.3±3.0cm、右上腕平均32.6±3.5cmで左右差は有意であった(p<0.01)。挿入長と計測値の差は、左尺側皮静脈平均-2.9±1.8cm、左上腕静脈平均-2.9±1.8cm、右尺側皮静脈平均-2.5±2.4cm、右上腕静脈平均-2.9±2.2cmであった。挿入長と計測値の誤差は、挿入部位別、左右差、使用製品による比較においてどれも有意差はなく(p>0.05)、患者属性による相関はなかった(p>0.05)。【結論】上腕PICCの挿入長は、右上腕より左上腕の方が平均で5cm程度長い傾向にあった。挿入長と体表面からの計測値の誤差は、平均で右-2.5cm左-2.9cmで挿入部位による有意差はなかった。体表面から計測した値を予測値として用いる場合は、計測値より2-3cm短く挿入することで至適位置になる可能性が高い。挿入長と計測値の誤差を患者属性による影響から推測する事は困難であった。