第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O70] 一般演題・口演70
リハビリテーション07

2019年3月1日(金) 16:50 〜 17:40 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:早川 桂(さいたま赤十字病院 高度救命救急センター)

[O70-5] 集中治療室における作業療法士と理学療法士の役割の違いについての調査

藤原 弘達1, 土屋 景子2, 古賀 雄二3 (1.川崎医科大学附属病院, 2.島根リハビリテーション学院, 3.川崎医療福祉大学 保健看護学科)

【背景】
ICU領域での理学,作業療法一括り,或いは理学療法士(PT)介入の報告は存在するが,作業療法士(OT)単独での報告は少ない.また,当学会では早期リハビリテーション委員会において集中治療認定理学療法士制度設立の語気があるなど,PTの役割は明確化されつつある.一方で,OTにそうした制度化の動きはなく,本領域におけるOTの役割は未確立と言える.
【目的】
ICU領域におけるOT・PTの役割の共通点,相違点を明らかにし,ICU領域におけるOTの役割を明確化することを本研究の目的とした.
【方法】
2016年12月13日~12月31日,日本集中治療医学会の施設一覧のうち日本作業療法士協会の会員名簿に掲載されている320施設のOT部門代表者に質問紙を郵送し,返信をもって同意が得られたものとした.
アンケートはICUの専従療法士の有無,OT・PTプログラム,OT・PTの役割等について問い,選択肢と自由記述による回答を求めた.本発表では,「ICUにおけるOT・PTの役割の違いは何か」という質問に対する,自由記述による回答に関してKJ法にて分析を行ったものについて発表する.また,川崎医療福祉大学倫理委員会にて承認(16-079)を得ている.
【結果】
全回収数97通(回収率30.3%),有効回答率77.3%であった.総ラベル数は169枚であり,最終的に「OTは精神機能の評価・介入を行う」,「OTはADLに介入する」,「OTも運動療法を行う」,「PT・OTの役割は区別困難」,「PTは離床・呼吸リハビリテーションなど身体機能面に介入する」,「OTは人生や背景を重視したアプローチをする」,「OTは他職種に情報提供を行う」,「OTは身体機能,ADL,精神機能など複合的な視点で介入する」の8カテゴリに分類された.さらに,カテゴリを空間配置し,それぞれの関係性を分析した結果,ICU在室中から,入院前の情報をもとに,ADLや精神機能の評価・訓練を行うことによる「退院後のADL・生活を早期より予測」,多職種との連携を図る「コーディネーター的役割を担う」,書字動作など上肢機能も活用した「応用動作能力低下予防」という,3つのICUにおけるOTの役割が導き出された.
【結論】
アンケートの回答より,OT・PTは同様な訓練を実施しており,区別が困難である状況である中でも,ADL・精神機能への介入,コーディネーター的役割などの相違点も示された.このようなOT独自の役割を遂行するためには,OTのICUへの専任的な従事が重要であると示唆された.