[P1-3] アナフィラキシーショックによる心停止に対して経皮的心肺補助装置を用いて管理した一例
【背景】アナフィラキシーショックによる心停止は極度の末梢血管拡張による相対的循環血液量不足のため、大量の容量負荷が必要となる。今回、アナフィラキシーショックによる心停止に対して経皮的心肺補助装置(以下PCPS)を挿入して管理した1症例を経験したので報告する。
【臨床経過】症例は35歳、女性。妊娠38週、初産。児頭骨盤不均衡のため緊急帝王切開術が施行された。児娩出後、抗生剤投与を開始した直後に息が出来ない、と訴えた後に意識消失し、脈蝕知不可能となった。直ちに胸骨圧迫を開始し、気管挿管した。心電図波形上無脈性電気活動の状態であった。エピネフリン1 ミリグラム投与を3分毎に施行し胸骨圧迫を継続した。呼吸は死戦期呼吸であった。羊水塞栓症も疑われ、循環器科に心エコー及びPCPS装着を依頼した。心エコーでは右心負荷所見を認めなかった。心肺蘇生を継続しながら、中心静脈ライン確保を行った。中心静脈圧は低値であったため、膠質液、アルブミン製剤投与を行った。心肺蘇生開始30分後に呼びかけにうなづく反応があった。直後にPCPSを開始した。この頃より全身に発赤を認めた。手術室からCT室へ移動し頭部胸部CTを撮影した。肺塞栓を疑う所見を認めなかった。ICUに入室後血圧は 120 mmHgに回復していた。また顔面の発赤、眼瞼や口唇の腫脹、全身の浮腫、大量の胃液を認めた。意識レベルは筆談が可能な状態に改善した。血圧は徐々に回復し、PCPSを術7時間後に抜去した。ソルメドロール1g/dayを3日間行い、術3日目にステロイド静脈内投与、エピネフリン気管内ネブライザー後、挿管チューブを抜去した。気道狭窄などの合併症は生じなかった。術4日目にICUを退室した。後遺症なく術10日目に退院した。数か月後に行った皮内試験ではセフォチアムナトリウムに陽性反応を認め、本薬剤によるアナフィラキシーショックであったと診断された。
【結論】PCPSはアナフィラキシーショック時の循環補助に有用であった。
【臨床経過】症例は35歳、女性。妊娠38週、初産。児頭骨盤不均衡のため緊急帝王切開術が施行された。児娩出後、抗生剤投与を開始した直後に息が出来ない、と訴えた後に意識消失し、脈蝕知不可能となった。直ちに胸骨圧迫を開始し、気管挿管した。心電図波形上無脈性電気活動の状態であった。エピネフリン1 ミリグラム投与を3分毎に施行し胸骨圧迫を継続した。呼吸は死戦期呼吸であった。羊水塞栓症も疑われ、循環器科に心エコー及びPCPS装着を依頼した。心エコーでは右心負荷所見を認めなかった。心肺蘇生を継続しながら、中心静脈ライン確保を行った。中心静脈圧は低値であったため、膠質液、アルブミン製剤投与を行った。心肺蘇生開始30分後に呼びかけにうなづく反応があった。直後にPCPSを開始した。この頃より全身に発赤を認めた。手術室からCT室へ移動し頭部胸部CTを撮影した。肺塞栓を疑う所見を認めなかった。ICUに入室後血圧は 120 mmHgに回復していた。また顔面の発赤、眼瞼や口唇の腫脹、全身の浮腫、大量の胃液を認めた。意識レベルは筆談が可能な状態に改善した。血圧は徐々に回復し、PCPSを術7時間後に抜去した。ソルメドロール1g/dayを3日間行い、術3日目にステロイド静脈内投与、エピネフリン気管内ネブライザー後、挿管チューブを抜去した。気道狭窄などの合併症は生じなかった。術4日目にICUを退室した。後遺症なく術10日目に退院した。数か月後に行った皮内試験ではセフォチアムナトリウムに陽性反応を認め、本薬剤によるアナフィラキシーショックであったと診断された。
【結論】PCPSはアナフィラキシーショック時の循環補助に有用であった。