[P101-5] 臨床工学技士の当直体制構築による業務時間外の院外心停止でのPCPS導入時間の前後比較:単施設観察研究
【背景・目的】臨床工学技士の勤務体制は経皮的補助心肺装置(PCPS)の導入までの時間に影響を与える可能性がある。当院では2009年度から2015年度までは業務時間外のPCPS導入時には院外にいる臨床工学技士がオンコール体制で対応していた。2016年度以降は臨床工学技士が常時院内に待機する当直体制が構築され、PCPS導入補助業務を迅速に行えるようになった。臨床工学技士の当直体制構築の影響を調べるために業務時間外に来院した院外心停止症例(OHCA症例)に対するPCPS導入時間の前後比較を行った。【方法】単施設後ろ向き観察研究。2009年4月から2018年7月の間に業務時間外にPCPSを導入されたOHCA症例を対象とした。2009年4月から2016年6月までのオンコール体制対応群と、2016年7月から2018年7月までの当直体制対応群において、病院到着からPCPS導入までに要した時間をt検定で検定した。【結果】組み入れ症例数は両群合計で15例であった。PCPS導入までの時間(中央値〔四分位点〕)は、オンコール対応群(n=6)で79.0(70.7-131.7)分、当直体制対応群(n=9)で33.0(30.0-41.5)分であった。オンコール体制と比べ、当直体制構築によりPCPS導入時間は有意に短縮した(p<0.05)。生存退院の割合はオンコール体制対応群で17%、当直対応群で33%であった。(p=0.51)。【考察】臨床工学技士の当直体制構築によりPCPS導入時間は46分短縮した。さらに生存退院の割合も当直体制対応群で増加傾向であった。臨床工学技士の勤務体制の充実が、迅速なPCPS導入を介して院外心停止症例の臨床転帰の改善に繋がっている可能性が示唆された