第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

呼吸 症例

[P14] 一般演題・ポスター14
呼吸 症例02

2019年3月1日(金) 11:00 〜 11:40 ポスター会場14 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:藤村 直幸(聖マリア病院 麻酔科)

[P14-5] 胸水ドレナージ後、再膨脹性肺水腫、ショックを来たした一例

佐藤 晃, 有永 康一, 日野 東洋, 金本 亮, 田中 啓之 (久留米大学病院外科系集中治療部)

背景)再膨脹性肺水腫とは、何らかの原因で虚脱していた肺が、治療に伴い急激に膨脹する際に発症する肺水腫を示す。今回我々は、胸水ドレナージ後に肺水腫を発症した1症例を経験したので若干の文献的考察を交えて報告する。臨床経過)67歳男性。心室中隔欠損症に対する根治術、大動脈基部置換術の既往があり、今回、人工弁への感染性心内膜炎に対する大動脈基部再置換術(CEP MagnaEase 23mm+Valsalvaグラフト26mm)を3月23日に施行された。4月23日に胸部レントゲンにて右肺野の透過性低下を認め、エコー検査上胸水貯留が疑われた。右胸腔穿刺ドレナージを行い、約1300mlの淡血性胸水を排出した。ドレナージ終了後、約2 時間後より喀痰の増加、呼吸困難、SPO2低下が出現し、聴診にて右肺野を中心としたcoarse crackleを聴取した。胸部単純レントゲン写真にて右下肺野に浸潤影を認めた。再膨脹性肺水腫と診断し、NPPVマスクによる呼吸補助を開始するも徐々に呼吸状態は悪化し、心拍数140bpm、収縮期血圧60mmHg台とショックを呈した。ICU収容し気管挿管、人工呼吸器管理を開始した。輸液負荷、ドブタミン、ノルエピネフリン持続投与、好中球エラスターゼ阻害薬、ステロイド投与にて全身状態の改善が得られ、3病日に抜管、4病日に昇圧剤中止、6病日に一般病棟へ転出した。結論)再膨脹性肺水腫の一例を経験した。再膨脹性肺水腫はドレナージ後の重篤な合併症として知られており、注意が必要である。