第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

臨床薬理

[P45] 一般演題・ポスター45
臨床薬理

2019年3月2日(土) 11:00 〜 11:50 ポスター会場4 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:前田 幹広(聖マリアンナ医科大学病院薬剤部)

[P45-2] 当院HCUにおけるポリファーマシーの現状

相川 千晴, 福田 幸人 (社会福祉法人 三井記念病院)

【背景】高齢者医療の問題として多疾患・複数診療科併診によるポリファーマシーが有害事象の大きなリスクにつながると言われている。【目的】当院HCUに入院した患者の持参薬から多剤併用の現状と問題点を調査した。【方法】対象患者:当院HCUに入院した患者(96人),調査期間:2018/4/19 - 2018/6/30,調査内容:患者背景(年齢,性別,転倒歴,入院時重症度,内服状況)と入院時内服薬剤数,錠数,処方元医療機関数,薬剤管理者,入院目的【結果】年齢は36 - 100歳(平均73歳,男性62人),入院時APACHEII:0 - 29(平均12.6),SOFA:0 - 9(平均2.6)。服用薬剤は0 - 16剤で平均6.5剤,服用錠数は0 - 36錠で平均11.7錠,6剤以上の多剤併用患者は55人(56.7%)で,そのうち透析患者は6人(10.9%)であった。年齢別の服用薬剤数は69歳未満で0 - 16剤,平均5±4.7剤,70 - 74歳で4 - 14剤,平均8±3.1剤,75 - 79歳で1 - 11剤,平均5.8±3.2剤,80 - 84歳で1 - 14剤,平均7.7±3.9剤,85歳以上で1 - 14剤,平均6.9±3.4剤であった。内服状況を確認できた81人のうち,服用していない薬剤があると答えた患者・薬剤管理者は21人(25.9%)。忘れる頻度は月1 - 3回が多く,昼食後(80.6%),夕食後(71.4%)であった。持参薬の中で『安全な薬物治療ガイドライン2015』による「特に慎重な投与を要する薬物リスト」に該当する薬剤は持参薬全体の26.4%であった。これを薬効分類別に集計すると,アスピリン,ループ利尿薬,ベンゾジアゼピン(BZP)系睡眠・抗不安薬,酸化マグネシウム,非BZP系睡眠・抗不安薬,アルドステロン拮抗利尿薬に該当する薬剤が多く,これら上位6剤を合計すると,リスト該当薬剤の59.4%を占めた。このうち服用の必要のなかったアスピリン服用中に消化性潰瘍をおこし,入院した例が1例あった。転倒歴のある患者は12人,年齢は69 - 100歳で平均78.9歳,そのうち6剤以上の多剤併用患者は8人(66.7%)であった。転倒の危険性を上昇させる薬剤(FRIDs)を内服していたのは11人(91.6%),このうち1人は転倒による骨折手術のための入院であった。【結論】年齢と多剤併用の関連性が示唆された。内服忘れは昼・夕に多く,出来るだけ服用タイミングをまとめることが服薬率を向上させると考えられる。過去の報告と同様に,FRIDsと転倒の発生頻度の関連が示唆された。「特に慎重な投与を要する薬物リスト」に沿って持参薬の見直しをすることは,有害事象のリスク軽減につながる可能性があると考えられる。