第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

終末期

[P46] 一般演題・ポスター46
終末期

2019年3月2日(土) 11:00 〜 12:00 ポスター会場5 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:永野 由紀(高知大学医学部附属病院ICU)

[P46-2] 集中治療室の看護師が抱える終末期看護に対する意識調査

由井 菜津美1, 山崎 敦子1, 田部井 映子1, 佐藤 綾子2, 小林 瑞枝1 (1.群馬大学医学部附属病院 集中治療部, 2.群馬大学医学部附属病院 患者支援センター)

【背景】集中治療室(以下ICU)などのクリティカル領域では急激な経過により避けられない死を迎えることも多く、近年集中治療領域における終末期医療に対する関心が高まっている。【目的】A病院ICUにおける終末期看護の向上を図るための視点を探る。【方法】平成30年4月時点でA病院ICUに1年以上勤務している看護師47名に対し、無記名自記式質問紙調査を行った。本研究は群馬大学人を対象とする医学系研究倫理審査委員会の承認を受け実施した。【結果】有効回答は40名であった。積極的治療から終末期治療への切り替えが難しいと感じている看護師は80%で、終末期看護に対し医師と看護師の間に思いや価値観のずれを感じている看護師が60%おり、薬剤投与や処置の継続、緩和ケアへの移行が遅いこと等にジレンマを抱えていた。終末期看護に対する困難感として、終末期に関して考える機会が少ないことや病状により患者の意思を確認できないこと、業務の煩雑さや緊急入室、短期入室により患者・家族との関係性を築くことが難しいと感じている看護師が多くいた。また、終末期看護のやりがいとして患者・家族のニードを満たす看護が提供できた時や患者の死を家族が受容できていると感じた時等が挙げられた。終末期看護の向上を図る上で必要なこととして、患者・家族との親密な関係性の構築と考える看護師が87%おり、具体策としてプライマリー制度の早期導入やコミュニケーションの必要性を挙げていた。患者が生前の間に看護の方向性についてカンファレンスを行うことが必要と答えた看護師は77%、デスカンファレンスの実施は67%で、情報の共有によりケア・対応の統一や共通認識を持つことができることが理由として挙げられた。【結語】一般的に終末期医療の目的は延命ではなくQOLの向上にある一方、ICUは救命を目的として医療が展開される。急性期から終末期医療への治療方針の変更は容易でないこともあり、切り替えが難しいのは患者・家族だけでなく看護師も同じであった。一般病棟と異なる環境によるジレンマや困難感を抱えていたが、そのような中でも終末期看護にやりがいを感じている看護師もいた。今後、終末期看護の向上を図る上で必要なことは、患者・家族のニードを知るための関係性の構築であり、そのためにはコミュニケーション能力の向上、積極的なカンファレンスの実施等が有用と考えられた。