[P5-6] 【優秀演題(ポスター発表)】好中球リンパ球数比による敗血症予後予測の検討
【背景】現在の敗血症の定義は臓器障害に焦点が当てられているが、敗血症の病態生理に重要な免疫学的評価が含まれていない。好中球リンパ球数比(neutrophil-to-lymphocyte ratio: NLR)は免疫学的指標であり、悪性腫瘍の予後指標になり得る可能性が示されているが、敗血症に適用した報告は少ない。敗血症診断に免疫学的指標を加えることでより病態に近づくことができるかもしれない。本研究は、NLRと敗血症の予後との関係を明らかにすることを目的とした。【目的】 <仮説> 「敗血症患者における初期NLRは90日予後に影響する」を明らかにする。【方法】 <研究デザイン> 後方視的観察研究。 <対象> 2017年7月~2018年6月の間に院内発症重症患者ICU(general ICU: GICU)に入室した敗血症患者61例のうち活動性血液悪性疾患、悪性腫瘍化学療法後などを除外した55例。<主要評価アウトカム>患者群をNLRの数値順に5群に分け(NLR: 1.8–9.5; 11.1–17.5; 18.5–26.8; 29.1–46.1; 46.8–88.1)、GICU入室後90日までの群別の死亡率への影響を検討した。 <統計> Kaplan-Meier法により生存曲線を作成し、ログランク検定を行った。p<0.05を有意差ありとした。【結果】全体でNLRは中央値22(13–38)であり、90日時点での生存率は67%であった。一方、5群のうちNLRが29.1から46.1の群では90日累積生存率は27%であり、他の群と比較して低かった(p=0.021)。【結論】NLRは敗血症における予後指標あるいは重症度評価指標のひとつとして有用である可能性がある。