第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

栄養

[P57] 一般演題・ポスター57
栄養

2019年3月2日(土) 11:00 〜 12:00 ポスター会場16 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:東別府 直紀(神戸市立医療センター中央市民病院麻酔科・NST)

[P57-6] ICU入室患者における低リン血症の実態

本村 絵里1, 玉城 正弘2, 照屋 剛3 (1.社会医療法人 友愛会 豊見城中央病院 栄養科, 2.社会医療法人 友愛会 豊見城中央病院集中治療室, 3.社会医療法人 友愛会 豊見城中央病院外科)

【目的】重度の栄養障害患者、または長期飢餓状態の患者へ栄養投与を開始するにあたり、Refeeding syndrome発症予防は重要である。その中でも、救急・集中治療領域でその特徴とする低リン血症へ進行した症例を度々経験する。今回、当院ICU入室患者の血清リン値(以下IP値)の評価状況、低リン血症(2.4mg/dl以下)の実態について調査を行った。【方法】平成29年7月から平成30年6月までICUに直接入院となった患者245例(末期腎不全、透析患者を除く)を対象とし、BMI、基礎疾患、IPの入室時から7日間の採血実施状況、低リン血症の割合、IP値の推移について後ろ向きに調査を行った。【結果】対象患者245例(男性156例、女性89例)、平均年齢66.6歳、平均BMI23.9kg/m2であった。入室時基礎疾患は心疾患109例、脳血管障害55例、外傷10例、その他51例であった。入室時にIPの採血があった患者は165例(67%)であった。そのうち入室から3日以内に再評価を行っていた患者は47例(28%)、さらに7日以内に再評価を行っていた患者は18例(11%)であった。採血のあった患者において、入室時低リン血症21例(13%)、3日以内の低リン血症16例(10%)、7日以内の低リン血症15例(9%)であった。入室時高リン血症であった5例で7日以内に低リン血症への進行が見られた。低リン血症患者へ薬剤等によるリンの補正が実施されていたのは14例(36%)であった。7日以内に低リン血症を発症していた症例のうち23例(59%)で電解質低値、心電図異常、低血糖などが見られていた。入室時採血のなかった患者中7日以内に採血のあった患者は11例(14%)、それ以外の69例(86%)は7日間一度も採血が行われていなかった。【考察及び結論】ICUへ救急搬送されてくる患者は入院前の既往や生活歴など不明な事も多く、検査値のみでの栄養障害患者の抽出は困難な場合もある。今回の調査において、ICU入室時のIPの評価があった症例は70%以下であり、再評価実施率も低い値となった。計画的な栄養管理を行っていく上での指標の一つとして認識を高める必要があると思われた。入室時は正常値、または高リン血症であっても低リン血症へ進行した症例もあったことから、入室後は期間や回数などを定め評価の継続が必要だと考えられた。