[P71-3] 重症呼吸不全にINTELLiVENT®-ASVを用いて人工呼吸器のウィーニングを行った2症例の検討
【背景】INTELLiVENT®-ASV(i-ASV: adaptive support ventilation)は、ETCO2、SpO2を含む生体情報を基に自動で患者の呼吸状態に応じた換気設定の変更やウィーニングを行うことが可能とされる。今回、重症呼吸不全患者にi-ASVを用いて人工呼吸器のウィーニングを行い、離脱に成功した症例と失敗した症例を経験した。【症例1】38歳、男性。非定型慢性骨髄性白血病に対して化学療法が開始されたが、第3病日に腫瘍崩壊、DICにより肺胞出血を来し、呼吸状態が増悪した。NPPVが開始され、第5病日にICU入室となったが、肺真菌症、ARDSを併発し、更に呼吸状態が増悪した。第24病日に気管挿管後、人工呼吸をAPRVで開始したが、胸部X線やCT上、両肺のびまん性すりガラス影の改善なく、器質化も来した。第35病日にi-ASVへ変更し、目標分時換気量(%MV)、FiO2、PEEPのいずれも自動設定とした。開始時は%MV 70 %、FiO2 0.3、PEEP 12 mmHgであったが、第39病日には PEEP 5 mmHgとなり、第40病日にはQuickWean®によるSBTも成功したため、抜管した。その後の呼吸状態の増悪なく、第49病日にICU退室となった。【症例2】53歳、男性。COPD増悪、CO2ナルコーシスで、気管挿管後、ICU入室となった。人工呼吸はBIPAPで開始し、第2病日よりi-ASVへ変更した。%MV、FiO2、PEEPを自動設定とし、開始時は%MV 105 %、FiO2 0.3、PEEP 10 mmHgであった。COPDに対してステロイド、短時間作用性β2刺激薬(SABA)吸入を開始したが、第4病日より心室頻拍を繰り返した。SABA吸入の影響と冠攣縮性狭心症を考慮し、第6病日にSABA吸入の中止とニトログリセリンの貼付を行った。その後、心室頻拍の再燃なく、第7病日に%MV 70 %、PEEP 5 mmHgとなり、第8病日にはSBTも成功したため、抜管した。しかし、抜管2時間後に突然の呼吸苦とPaCO2の貯留を認めたため、再挿管を行った。第14病日に気管切開を行い、第22病日にICU退室となった。【結論】重症呼吸不全患者に対してもi-ASVを用いて人工呼吸器のウィーニングを行うことができた。しかし、原疾患の病勢によっては人工呼吸器からの離脱は困難な場合がある。