第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

感染・敗血症 症例

[P8] 一般演題・ポスター8
感染・敗血症 症例02

2019年3月1日(金) 11:00 〜 11:50 ポスター会場8 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:安宅 一晃(奈良県総合医療センター 集中治療部)

[P8-3] 溶血連鎖球菌性毒素原性症候群に敗血症性心筋症を合併し機械的循環補助を用いて救命した一例

定本 圭弘1, 岩永 航2, 那須 道高3 (1.北海道大学病院 先進急性期医療センター 救急科, 2.奈良県総合医療センター救命救急センター, 3.浦添総合病院 救急集中治療部)

【背景】敗血症性心筋症(sepsis induced cardiomyopathy, SICM)は、敗血症に伴う可逆的な心筋障害とされるが明確な定義は存在せず、機序や治療に関して詳細不明である。敗血症時の血行動態破綻の一因となっており、死亡率の増加と関連している。機械的循環補助が必要な重症SICMの報告は少なく、今回我々は良好な経過を得た症例を経験したので文献的考察を踏まえて報告する。【臨床経過】症例は既往のない35歳男性。溶血連鎖球菌性毒素原性ショック症候群による敗血症と診断し抗菌薬加療を開始したが、left ventricular ejection fraction(LV-EF) 11.2%とびまん性壁運動低下と重度なSICMを合併し高用量の血管作動薬に加えて強心薬を投与するも循環不全が進行したため、venoarterial extracorporeal membrane oxygenationとintra aortic ballon pumpingを導入した。導入後速やかに心機能は改善を認め、機械的循環補助から離脱した。その後心臓超音波で異常所見は認めなくなるまで心機能は改善した。【結論】SICMは可逆性であり、補液や昇圧剤で循環動態の維持が困難な際には強心薬よりも機械的循環補助の早期導入が有効であると考える。