第96回日本医療機器学会大会

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ポスター演題

ポスター演題

[P20] 多数傷病者受け入れ時のトレーサビリティシステムを活用した手術器械管理の取り組み

太田 智美1, 中川 眞美1, 江島 豐2, 大上 有子3, 竹森 加菜子3, 松浦 健4, 立花 亮平5 (1.東北大学病院 材料部, 2.東北大学病院 材料部・手術部, 3.東北大学病院 手術部, 4.東北大学病院 診療技術部, 5.㈱ホギメディカル)

【背景】
CBRNE(chemical,biological,radiological,
nuclear,explosive)などの多数傷病者発生時は,手術部が受け入れ可能患者数の把握をおこなわなければならないため,材料部は,使用可能な器械の情報を提供する必要がある.これまでの防災訓練では,手術部へ報告が必要な器械に対し,発災から手術部災害対策本部開催時までの30分間で,保管されている器械数を数え報告していたが,夜間休日やマンパワー不足時は対応が難しいと考えられ,多職種で災害時の運用を検討したので取り組みを報告する.
【活動内容】
手術部・臨床工学技士・衛生材料供給業者などの多職種でトレーサビリティシステムを活用した多数傷病者発生時の手術器械管理を検討し,以下を実施した.
1.多数傷病者受け入れ時に予想される術式を検討
2.術式に応じた器械と衛生材料の準備リストの作成
3.術式の優先順位を決め,手術部より依頼がなくても準備する運用の検討
4.必要な器械の工程別一覧を表示・印刷できるシステムのカスタマイズを依頼,導入
5.CBRNEアクションカードへの追記
【結果・考察】
多数傷病者発生時に予想される術式を検討したことは,災害時に使用する器械と他の器械とを明確に区別できた.術式に応じた器械と衛生材料の準備リストを作成し,優先順位を付けたことは,災害時に優先して工程を進める器械を把握できるようになり,予め準備リストにそって準備を進めることで,迅速な対応が可能になると考える.これまでの訓練で,使用可能な器械の把握には2名で30分以上かかっていたが,システムにより1分程度でおこなえるようになり,材料部不在時にも手術部看護師も同様の確認が可能になった.また,リアルタイムで何度も作業工程別の器械数一覧を確認でき,効率よく作業をおこなえるなど,トレーサビリティシステムを有効に活用できたといえる.さらに,今回の内容をアクションカードに追記したことで災害時の行動がより具体的にわかるようになった.