第97回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

手術室

手術室

2022年6月3日(金) 09:00 〜 09:50 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:谷口 雄司(鳥取大学)

09:10 〜 09:20

[24] 手術用内視鏡画像遅延の定量化

瀬島 啓史, 倉島 直樹 (東京医科歯科大学病院 ME センター)

【はじめに】
内視鏡手術およびロボット支援下手術は画
像がなくては手術を施行できない.そして,画
像遅延は手技に大きな影響を与える.画像遅延
に関してはケーブルの伝搬速度しか公表してい
ない.そのため,実際の遅延は術者の感覚によ
る評価となり正確な評価は困難となる.遅延を
定量化することは重要であり画像遅延の方法を
検討し比較した.
【方法】
手術用内視鏡ユニットOLYMPUS 社製
VISERA 4K UHD を用い,モニタによる比較とし
て,医療用液晶モニタSONY 社製 LMD-X310MT
(以下31 インチモニタ)とLMD-X550MT( 以
下55 インチモニタ)へ出力する方法と録画器
を介した方法として,3DHD ビデオレコーダ
HVO-3300MT を介して31 インチモニタ (以下
録画器)へ出力する方法とした.
遅延の測定方法は,Apple社製iPadのストッ
プウォッチを内視鏡スコープでモニタに表示
させた.iPadとモニタが同時に入る画角で静止
画を保存し,表示された秒数から遅延速度を
算出した.遅延速度は各5回測定し,iPadを基
準としモニタとの差を算出した.また,各モ
ニタの遅延速度を比較検討した.検定はMann-
Whitney U検定を用いた.
【結果】
画像遅延速度の中央値はiPad/31インチモニ
タ/55インチモニタは0/80/80ms,iPad/31
インチモニタ/録画器は0/60/270msであっ
た.録画器単体の遅延はモニタの遅延を差し引
き160msであった.モニタによる比較の検討で
は,モニタ間で有意差はなかった.録画器を介
した検討では,録画器とモニタおよび,モニタ
の遅延を差し引いた録画器単体とモニタにおい
ても有意差はあった.
【考察】
今回の測定方法はiPadなどのタブレット端末
とカメラを用いれば容易に測定することが可能
である.遅延速度を定量化できるため,感覚に
よる画像遅延を正確に評価する点で有用であ
る.測定した内視鏡ユニットとモニタの組み合
わせによる最大遅延は100ms以内であり,現状
で遅延を感覚的には認めていない.しかし,録
画器を介した場合は,画像の遅延を感じる可能
性がある.